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機械学習による世界最速の三次元電子顕微鏡ナノイメージング

October, 29, 2021, 福岡--九州大学の研究グループは、機械学習(ML)を活用したノイズフィルタを組込んだ新しい電子顕微鏡の計測手法を開発し、物体の内部をナノメートル(100万分の1㎜)スケールの解像度で立体的に可視化するトモグラフィーと呼ばれる観察技術を従来よりも100倍高速化することに成功した。

研究で用いられた立体可視化法は、医療現場で身体の断層面の画像を得るために活用されているX線CT検査と同じ原理に基づいており、いろいろな角度から撮影した試料の二次元画像から数学的規則を用いて試料の立体像を再構築する。しかし、ナノスケールで多数枚の二次元画像を撮影するのには長時間を要する。さらに試料が厚くなると電子線が透過しにくくなるため、解像度の高い像を得るには走査透過電子顕微鏡法(STEM)という特殊な手法が必要となるが、STEMの撮像速度を極限まで高めようとすると、電子線の位置を制御する装置や撮影装置の特性に由来したノイズや画像の歪み、いわば「装置の癖」が画像に複雑に含まれるようになるため、STEMによる画像撮影や立体可視化の高速化は難しい課題とされていた。特に、観察対象試料由来の信号とノイズとを区別する作業は人力ではほとんど不可能だったが、今回、機械学習を取り入れた手法により克服することができた。その結果、物体の内部情報を含む立体可視化に必要な全画像をわずか5秒(従来は数十分)で取得する世界最速のナノイメージングを実現した。
 電子顕微鏡は物質や材料の内部の組織を詳細に可視化することができる強力な装置だが、今回の開発手法により、試料の微細な変化をリアルタイムで立体的に観察することが容易になった。構造材料の変形や化学反応等の直接観察といった研究の新たなアプローチとなることが期待されます。
 この研究は、米国NSF-NNCI Virginia Tech centerとの共同研究(ECCS 1542100, 2025151)、株式会社マックスネット、株式会社システムインフロンティアの技術的支援を受けて実施された。
 研究成果は2021年10月26日にScientific Reports誌に公開された。

研究グループ
先導物質化学研究所の斉藤光准教授、井原史朗助教、村山光宏教授、ならびに同大学大学院総合理工学府の趙一方氏(博士課程在学)、鯉池卓氏(修士課程修了、現在株式会社神戸製鋼所勤務)、同大学工学部の仲間陸人氏(卒業、現在株式会社リボルブ・シス勤務)、同大学院総合理工学研究院の光原昌寿准教授、波多聰教授他。
(詳細は、https://www.kyushu-u.ac.jp)