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液晶がナノ構造をつくる際の新現象を発見

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September, 16, 2021, 東京--NEDOは「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」に取り組んでおり、今般、産業技術総合研究所、九州大学と共同で人工知能(AI)と分子シミュレーションを組み合わせた世界初の解析技術を開発し、液晶がナノ構造化する際に起こる新しい現象を発見した。

従来の古典核生成理論において、さまざまな物質のナノ構造は1段階~2段階のプロセスを経て生成されると説明されていた。しかし今回、液晶の場合にはより複雑な3段階のプロセスを経ることを発見するとともに、そのメカニズムの解明にも成功した。この解析技術は液晶だけでなくポリマーや生体材料などさまざまな物質の解析にも応用可能なため、幅広い高機能材料の創製につながる。

今後の予定
この解析技術は物質を選ばず使用でき、またナノ構造の生成プロセスだけでなく成長や構造パターンの形成を経た固形化までを詳細に観察することができる。そのため、液晶以外にも溶液やポリマー、生体材料などナノ構造の生成・成長が機能デザインの鍵となるさまざまな物質に対して応用ができる。例えば発光素子として使用されるナノ結晶やCO2吸着材料として使用される金属有機構造体(MOF)の精製プロセス、ポリマー材料の結晶化プロセスなどをこれまでにない精度で観察することで、製品の性能を左右する結晶の大きさや純度など材料の構造パターンを最適化する「コツ」をつかむことが可能になり、高機能材料創製のための材料性能向上や開発期間短縮につながると期待される。

このプロジェクトでは、実在する材料の分子構造に対するより高度な設計指針を打ち出すためのAI関連技術開発を行っていくことで、革新的な材料の開発に資する技術の構築を目指す。また今回開発した手法を幅広く適用し、ナノテクノロジーを生かした国内産業の材料開発に貢献する。
研究成果の詳細は、2021年9月6日(英国夏時間)に英国の総合科学誌「Nature Communications」に掲載された。

(注) 古典核生成理論
例えば物質が液体から固体に変化する場合などに、その始まり方を説明しようとする古典的な理論。変化の際に分子が集まって形作られるナノ構造の生成しやすさ・しにくさは、ナノ構造のサイズと表面積のバランスのみで決まると仮定。サイズがある臨界値を超えるとナノ構造が安定して大きく成長し始め、液体が本格的に固体へと変化すると考える。簡単な一方で、ナノ構造の生成に関連する物理量を定量的に説明できず、その正当性が長く疑問視され続けてきた。

(詳細は, https://www.nedo.go.jp)