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新しいイメージング技術で生物学や神経化学研究を促進

August, 2, 2021, Harvard--顕微鏡学者は、生体の高品質な深部組織イメージングをタイムリーに生成する方法を長年探求してきた。今日までのところ、複雑な生体システムの内部構造を見るとき、画像品質かスピードかのいずれかを選択しなければならなかった。

優れたイメージングシステムは、生物学や神経科学の研究者に大きな影響を与える、と専門家は考えている。今回、FAS Center of Advanced Imagingに所属し、イメージングのJohn Harvard Distinguished Science FellowであるDushan N. Wadduwageは、MITのチームとともに、それを可能にする新技術をScience Advancesに詳述した。

論文で、チームは、複雑なアルゴリズムとマシンラーニング(ML)を使用する他の最先端技術よりも100~1000倍高速に高分解能画像を取得するコンピュータイメージングを利用する新しいプロセスを紹介している。その方法は、数ヶ月かかるプロセスを数日に短縮することができる。

システム、De-scattering with Excitation Patterning (or DEEP)は、その種のもので初、いずれ脳内などの複雑なプロセスの機能方法の新たな理解につながる。DEEPは、他の顕微鏡では撮れない画像を撮れるからである。

その新システムは、非常に高速にできることに加えて、イメージングを実際にスピードアップすることができるので、「研究者は、以前にはできなかった高速プロセスをイメージングできるようになる。ニューロンが発火する時に起きること、脳内で信号がどのように動き回るかなどである」とWadduwageは話している。「それは、技術的にも高速であるので、一度に大きなエリアをイメージングできる。緩慢なイメージングシステムで捉えるような小さな視野ではない。その能力は、遙かに大きな絵を見ているようであり、この点は、神経科学者や他の生物学者が実際に優れた統計を得たり、イメージングしているエリアの周囲で何が起こっているかを見るには極めて重要である。

そのシステムは、多くの他の動物イメージング技術のように機能する。近赤外レーザ光を使い、光を散乱させる生体組織深部に浸透させる。光は、研究者がイメージングしたい蛍光分子を励起し、これらは、画像を形成するために顕微鏡が捉える信号を放出する。

この種のイメージングが採用する主要な方法は2つ。ポイントスキャニングマルチフォトン顕微鏡は、試料深部まで浸透し、高品質の画像を撮ることができるが、このプロセスは、画像形成が一度に1点であるので、極めて緩慢である。例えば、1㎝サイズの画像を撮るのに数ヶ月かかる。それは、ニューロン発火など、高速の生体動力学研究を制約する。もう1つの方法は、時間フォーカス顕微鏡。これは、遙かに高速であり、広いスケールで画像を撮ることができるが、1mの数百万分の1よりも深いところで高解像度画像を撮ることができない。蛍光の散乱が多すぎて、カメラがそれを検出するときに、画像が劣化するからである。

しかしDEEPは、広く、迅速な組織浸透を可能にし、高解像度画像を生成する。同システムは、時間顕微鏡法と同様に被検体に広い光を投影するが、レーザ光は、特別なパターンになっている。最初のパターンを知っているコンピュータイメージングアルゴリズムは、そのプロセスを反転させるために収集された情報を取り込む。つまり、散乱し、次に再構成し、画像をデスキャタ(de-scatter)する。これは、特に重要である。数百万の計測から数十、数百まで、構造的特徴の再構成を取り込むからである。DEEPは、数百µmの深さまで散乱組織を通して、ポイントスキャニング技術に匹敵するイメージングができる。

DEEPは、まだ開発の初期段階であるが、その概念実証フェーズから抜け出しつつある。

「われわれは、生きたマウスの脳深部300µm程度をイメージングできることを示した。しかし、これは最初のデモンストレーションに過ぎない。その技術のほぼ全ての側面は、改善の余地がある」とWadduwageは話している。
(詳細は、https://news.harvard.edu)