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光の磁場成分を増強するナノアンテナで未開拓な光学遷移の増強に成功

May, 19, 2021, 神戸--神戸大学大学院工学研究科の杉本泰助教(JST さきがけ研究員)、藤井稔教授らの研究グループは、高い屈折率をもつ誘電体のナノアンテナを用いて、“磁気双極子遷移” による発光を大幅に増大する技術の開発に成功した。

ナノアンテナは可視から近赤外領域に光学的な共鳴をもつ金属や誘電体のナノ構造であり、分子などの光吸収や光放出(発光)を増強することができる。従来の金属材料からなるナノアンテナは光の電場成分に強く応答し、主に“電気双極子遷移”に対して増強効果を示す。しかし、もう1つの遷移過程である“磁気双極子遷移”については、微弱であるためこれまでほとんど考慮されなかった。研究では、“磁気双極子遷移”を大幅に増強する誘電体ナノアンテナを開発し、物質の光励起・緩和過程の新しい制御手法を実証した。研究グループは独自に開発したシリコンナノ粒子について、①直径を数ナノメートルの精度で制御する技術と②磁気双極子発光体を表面に付加する技術を開発し、10倍以上に増強された磁気双極子遷移発光を実現した。

成果は、これまで考慮されなかった光励起・緩和過程を可能にする新しい技術であり、今後、光の磁場成分を活用した新しい光化学反応経路の開拓につながると期待される。この研究成果は、5月17日に、国際科学誌ACS Photonicsに掲載された。
(詳細は、https://www.kobe-u.ac.jp)