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均一温度環境における熱電発電を可能にするメタマテリアル熱電変換素子

May, 14, 2021, 東京--東京農工大学大学院工学研究院の久保若奈准教授などの研究チームは、均一な温度環境下でも熱電発電をするメタマテリアル熱電変換素子を提案した。
 周囲環境が放出する赤外線(熱輻射)を吸収するメタマテリアルを熱電変換素子に装着するだけで、動作原理上不可能であった均一温度環境下における熱電発電が可能であることを、計算機シミュレーションにより検証した。将来は、車のエンジンやエアコンなどから排出される、未利用熱を電気エネルギーとして再利用できる熱電変換素子の実現を通して、よりエネルギー利用効率の高い社会の構築への寄与が期待されている。

赤外光(熱輻射)を効率良く吸収して発熱する人工材料(メタマテリアル吸収体)を熱電変換デバイスの片面に形成すると、均一な温度環境下でも熱電発電を行えることを、研究グループは計算シミュレーションにより明らかにした。このような周囲環境が放出する熱輻射を利用して均一な温度環境下でも熱電変換が行えるメタマテリアル熱電変換素子の提案は世界初の成果。

 これまでの常識は、熱電変換素子を温度分布が均一な温度環境に長時間放置すると、熱電素子の温度も均一になって温度勾配が失われるため熱電発電は行えないというものであった。研究グループは赤外光(熱輻射)を吸収して発熱するメタマテリアルをビスマステルル(Bi₂Te₃)熱電変換素子の片側のみに形成した「メタマテリアル熱電変換素子」を提案した。Bi₂Te₃熱電変換素子の一端に形成したメタマテリアルは、周囲の環境から赤外線(熱輻射)エネルギーを吸収して発熱し、その熱はBi₂Te₃熱電変換素子の片面の温度を上昇させる。すると、Bi₂Te₃熱電変換素子の一端の温度が上昇し、熱電変換素子内に新たな温度勾配が生じるため、均一な温度環境下でも熱電発電が可能となる。研究グループは227 度 (500 K)の均一な温度環境下に設置したメタマテリアル熱電変換素子が、最大1.09 mW/cm²の出力電圧密度を得ることを数値シミュレーションに明らかにした。
(詳細は、https://www.tuat.ac.jp)

研究グループ
東京農工大学大学院工学研究院の久保若奈准教授、工学府産業技術専攻博士前期過程の勝俣翔平氏(当時)、国立研究開発法人理化学研究所開拓研究本部田中メタマテリアル研究室の田中拓男主任研究員(同光量子工学研究センター フォトン操作機能研究チーム チームリーダー)