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3D金属パーツ製造に効率的なアプローチを開発

June, 26, 2014, Livermore--ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の研究チームは、積層製造の課題となっている問題に新しい、より効率的なアプローチを開発した。これは選択的レーザ溶融(SLM)を使用するアプローチで、パーツが所望の特性を持つように適切なプロセスパラメータを選択する。
 SLMは、粉末ベース積層製造プロセス。高エネルギーレーザビームを使って金属粉末粒子を溶融し、層を積み上げて3Dパーツを製造する。SLMアプリケーションの中には、空隙率1%以下の高密度パーツを必要とするものもある。これは、孔やボイドが材料の弱点、欠点にさえなることがあるためだ。
 しかし特殊な基準やパフォーマンス仕様にしたがって機能パーツやコンポーネントを造ることは、多くのパラメータを適切に設定しなければならないので、非常に難しくなる。主要パラメータの中には、レーザパワー、レーザ速度、レーザスキャンライン間の距離、スキャニングストラテジー、粉末層の厚さが含まれる。その結果、所望の高密度特性を持つパーツを開発するには適切なパラメータを決める高信頼でコスト効果の高いアプローチが必要になる。
 LLNLの研究チームは、簡単なシミュレーションと実験に基づいて、3D高密度金属パーツをプリントするための最適パラメータを決める効率的なアプローチを開発した。Advanced Manufacturing Technologyに発表された記事は、”Density of additively-manufactured, 316L SS parts using laser powder-bed fusion at powers up to 400W”(最大400Wまでのレーザ溶融を用いた316L SS高密度積層造形)。
 同論文は、プロセスパラメータ空間を探求するために単純な計算シミュレーションを用いてハイパワーSLMマシーンのパラメータがどのように選択できるかを説明している。これらのシミュレーションは、溶融プールの寸法を決めるために使われる。このプールは、レーザが金属粉末粒子を溶かすときに形成される液体のプール。
 「重要なSLMパラメータとその数値、つまり下の基板に粉末を溶かし込むために十分な深さを決めることを目的にシミュレーション結果を利用した。わずかな数の一方向の実験を導くためにシミュレーションを利用することによって、高密度パーツが実現できそうなパラメータ数値に素早く到達することができる」とLLNL研究者、Chandrika Kamath氏は説明している。
 「スピードが遅すぎると金属密度が低下することが分かった、これはキーホールモードレーザ溶融の結果としてボイドができるためである。つまり、レーザが材料に孔を開けるからだ。同時に、スピードが速すぎると、溶融が不十分になる。重要なことは、溶融に適した最適パラメータを見つけ出すことだ」とKamath氏は説明している。
 LLNLチームは、ローパワーでは異なる粉末を利用すると密度に影響が出るが、パワーが高くなると影響が出ないことを見いだした。
 「より高いパワーは、製造されるパーツの多様な特性を最適化するプロセスパラメータの選択で柔軟性があると言える」。
 この実験では、316Lステンレススチールを使ったが、研究チームのアプローチは他の金属粉末にも同様に適用可能である、とKamath氏は言う。