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光電気化学電池の効率的集光にモスアイ構造を利用

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June, 26, 2014, Zurich--スイス連邦材料・科学技術研究所(Empa)の研究チームは、集光効率を飛躍的に高めるモスアイ構造を造り、光電気化学電池を開発した。この電池は、安価な原材料、鉄と酸化タングステンでできている。
 サビ、つまり酸化鉄が太陽電池技術に革命を起こす可能性がある。通常は不要なこの物質は、水を分解して水素を発生させる光電極を造るのに使用できる。太陽光は、それにより貴重なエネルギーに直接変換され、最初に電気生成に使われるのではない。残念ながら、原材料の酸化鉄には限界がある。安価であり、太陽がほとんどのエネルギーを放出する波長域を正確に吸収するが、伝導性が非常に悪いので、水を分解する技術が機能するには極薄膜で使用しなければならない。この欠点は、これらの薄膜が電池を照射する太陽光をほとんど吸収しないためである。
 Empaの研究者、Florent Boudoire氏とArthur Braun氏は、この問題の解決に成功した。光電極表面上の特殊マイクロ構造が、文字通り太陽光を集光するが、それを放出することはない。この画期的な構造のベースには、酸化タングステンの微小粒子がある。これは飽和した黄色であるので、光電極にも使える。この黄色の微小球を電極に採用し、酸化鉄の極薄ナノスケール層で覆う。外部の光がその粒子に届くと、内部で前後に反射され、最終的に光が吸収される。ビームの全エネルギーが水分子分裂に使える。
 原理的には、この新概念の微小球は蛾の目(モスアイ)のように機能する。このような夜行性の生き物の目は暗闇で見るために可能な限り多くの光を集める必要があり、また敵に発見されたり餌食になったりすることを避けるために反射は可能な限り少なくなければならない。これらの目の微小球は、特に光の最適波長に適応している。Empaの太陽電池は、この同じ効果を利用している。
 金属酸化物微小球から人工的なモスアイを再現するために、Florent Boudoire氏はプラスチック粒子の懸濁液をガラスに噴霧した。個々の粒子の中心には、タングステン塩水溶液が含まれている。粒子は、ぎっしりと詰め込んだビー玉層のようにガラスシートの上に乗っている。このガラスシートをオブンに入れて加熱するとプラスチック材料が焼けてなくなり、食塩水が所望の酸化タングステン微小球に変わる。次のステップは、この新しい構造に鉄塩溶液を噴霧し、再度それをオブンで加熱することだ。
 混合、スプレイ、加熱、これは純粋錬金術と解釈してもよい。一連のステップは、全くの偶然ではあるが、最終的に成功している。とは言え、この実験と並行して研究チームは、コンピュータでこれのモデリングを計算してきており、微小球で「光を捉える」ことをシミュレートした。そのシミュレートの結果は実験観察と一致しており、これはプロジェクトリーダー、Artur Braun氏が確認している。酸化タングステンがいかに光電流に寄与するか、酸化鉄の寄与はどの程度かは明らかである。次のステップとして研究チームは、数層の微小球の効果を調べることを計画している。モスアイ太陽電池の研究は、現在進化の途上にある。