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Science/Research 詳細

新しい自己組織化法で微細構造からバイオエレクトロニクスを作る

April, 7, 2021, Chicago--柔らかく適合性がある生きた細胞と硬く柔軟性がないエレクトロニクスを結合することは難しい。シカゴ大学(UChicago)の研究チームは、この課題に立ち向かう新しい方法を開発した。トップダウンで作るのではなく、微細構造を利用してバイオエレクトロニクスを確立し、カスタマイズ性の高い製品を作る。

研究チームは、、生体組織とシームレスに結合できるエレクトロニクスを作ることに強い関心を持っている。これらは、細胞や組織の機能の仕方、医療デバイスとしてどう機能するかを研究するためのツールとして利用できる。例えば、パーキンソン病あるいは心臓疾患を処置する組織刺激としてである。

一般的に、そのようなバイオエレクトロニクスは、「トップダウン」アプローチで作られる。すでに結合されたエレクトロニクス、生体組織に組みこめるほどに小さくしたエレクトロニクスで作られる。しかし、Bozhi Tian 教授とそのチームがNature Nanotechnologyに発表した新しい研究は,別の方法、「ボトムアップ」アプローチを利用する。ここでは、ミセルと呼ばれる小さなビルディングブロックが結合して、炭素ベースのバイオエレクトロニクスを形成する。

ミセルは、水との相互作用により球構造を形成できる分子の集合。この固有の構造は、多くの重要な生物学的、化学的プロセスで不可欠の役割を担う。例えば、洗剤が油をどのように除去し、身体がある脂肪を処理する仕方など。

小さなミセルは結合して、極小の孔、ナノ多孔性の非常に薄いシートを形成するので,極めて柔軟性に富んでいる。これらの孔は表面エリアを広げ、接触を増やし、接続性を改善する。孔は、バイオエレクトロニクスデバイスの柔軟性も改善する。この点は重要である。バイオエレクトロニクスは、柔らかな生体膜とピッタリ合う必要があるからだ。これを理解するには、多くの空気ポケットを持つ一切れのケーキを考えればよい。逆は,濃いブローニィである。

「これは、バイオエレクトロニクスに向けたミセル主導微細自己組織化を利用する、正に最初の研究論文である。それの示唆するところは、エネルギー蓄積など、バイオインタフェースを構築する他の分野から、より多くの原理を探すべきであるということだ」と化学院生、論文の共同執筆者、Aleksander Prominskiはコメントしている。

このアプローチの別のプラス面は、デバイス構築の多様性。バイオエレクトロニクスの作成は、ビルディングブロックをスワップアウトするように簡単。

「われわれの多孔質炭素膜は、生物物理学的センシングや刺激ができる。この技術には臨床アプリケーションがあり、テンカン、パーキンソン病などの症状に対処できる」と論文の共同執筆者、Pritzker School of Molecular Engineeringの院生、Lingyuan Mengはコメントしている。

(詳細は、https://news.uchicago.edu)