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レーザベースセンサ技術、金属のリサイクル

March, 19, 2021, Aachen--フラウンホーファーILTとCronimet Ferroleg. GmbHは、産業による原材料利用を促進するために、BMBF-funded “PLUS”プロジェクトの一環として金属スクラップのレーザベース分類プロセスを共同開発した。
 開発した新しいセンサは、以前よりも、効率的に金属原材料を何度もリサイクルできる。EUプロジェクト“REVaMP”は、さらに一歩先へ行っている。このプロジェクトで、フラウンホーファーILTの専門技術者は、2020年1月からヨーロッパレベルで材料分析領域で、その専門技術を提供している。長期的には、原材料の効率的供給確保に重要な国際的貢献となる。

金属資源は不足しているので、不足を阻止するには原材料のリサイクルが決定的な役割を果たす。また、最も重要な金属原料となる。

使用済みの金属スクラップは溶かして金属、合金に分類し、実質的に品質の低下なしで再利用できる。そのような材料の価値は高いので、そのプロセスは採算がとれる。また、主工程と比べるとCO2の排出は極めて少ない。高価で、技術的に複雑な鉱物資源の抽出、また世界中の目的地への輸送は、もはや必要でない。

問題の核心は、金属スクラップの価格と利用可能性、そのリサイクル率の両方が、多くの相互依存要素に依拠していること。これらに含まれるのは、一次市場での価格変動、製品のライフサイクルと収集率、プロセス損失、技術的リサイクル能力、問題の合金の価値。世界市場は、同様に不安定である。一次金属の価格が上昇すると、スクラップの入手可能性が低下、またその逆も起こる。これは、企業にとっては大きなリスクをともなう。

レーザにより高収量
こうした背景に抗してフラウンホーファーILTは、Cronimet Ferroleg. GmbH from Karlsruheとともに、新しいレーザベース分類プロセスを開発した。BMBF助成PLUSプロジェクトの一環として開発されたそのセンサ技術は、金属スクラップ内の合金の検出と分類を遙かに高速かつ正確に行う。2020年、パイロットプラントが、カールスルーエのCronimet-Ferrolegサイトで稼働し、極めて好調に機能した。特に、それは、高速度鋼(HSS)処理用に設計されている。

「HSSツールは、コバルトなど貴重な合金元素を含んでおり、どこの金物店でも見つかる。例えば、ドリルやミリングヘッドである」(Dr. Cord Fricke-Begemann)。

一般的なプロセスは、わずかな合金を手動計測する手間のかかる作業に限定されている。それに対して、フラウンホーファーILTで開発され、PLUSで使用するLIBSは、小さなスクラップパーツでも20以上の特殊な合金を自動的、迅速、非接触で特定できる技術である。「短時間でわれわれは、より多くのスクラップを処理し、より高いグレード純度を達成できる。この方法で、われわれは、研究と産業との重要な架け橋を構築している」とFricke-Begemannはコメントしている。

ヨーロッパのための未来技術
2020年に始まったEUプロジェクトREVaMPの一貫として、フラウンホーファーILTは、その専門技術をヨーロッパレベルで材料分析領域に適用している。そのプロジェクトは、3年半計画であり、スペイン、ポーランド、ドイツの企業と研究機関の国際的提携によりサポートされている。「目標は、関連する合金に関わらず、汎用ベースで知見をPLUSプロジェクトに集めることである。われわれは、既存産業プラントに導入できるセンサの構築を考えている。これにより基本的に、リサイクリングプロセスが一段と効率的になる」とFricke-Begemannは話している。

リサイクルすべき合金の成分と特性は何か。供給される材料にどの程度の鉛が含まれているか。材料が溶かされるとき、どの程度のエネルギーを加えねばならないか。これらの問題が、REVaMPの焦点であり、将来、より正確に応えられなければならない。成功するなら、これは世界の原材料市場から、ヨーロッパのさらなる独立に大きく貢献する。また、企業の資源効率改善に決定的に貢献する。

(詳細は、https://www.ilt.fraunhofer.de)