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スウィンバーン工科大学、世界最速神経形態学チップを実証

March, 9, 2021, Dresden--Swinburne University of Technologyをリーダーとする国際研究チームは、人工知能用に世界最速、最も強力な光ニューロモルフィックプロセッサを実証した。これは、10 TeraOPs/s超で動作し、巨大規模データを処理することができる。Natureに発表された、このブレイクスルーは、ニューラルネットワークとニューロモルフィック処理一般にとって大きな飛躍である。

AIの重要形式、人工ニューラルネットワークは、「学習」し、広範なアプリケーションで複雑な動作を行う。コンピュータビジョン、自然言語処理、顔認証、スピーチ翻訳、戦略ゲームの実行、医療診断や他の多くの領域である。脳の視覚野システムの生体構造からヒントを得て、人工ニューラルネットワークは生データの重要な特徴を抽出して、前例のない精度と簡素化で特性と行動を予測する。

SwinburneのDavid Moss教授、Dr Xingyuan (Mike) Xu (Swinburne, Monash University) と名誉教授Arnan Mitchell(RMIT大学)をリーダー、とするチームは、光ニューラルネットワークで並外れた成果を達成した。コンピューティングスピードと処理能力を飛躍的に加速する成果である。

チームは、以前のプロセッサよりも1000倍以上高速に動作する光ニューロモルフィックプロセッサを実証した。また、同システムは記録的なサイズの超大規模画像を処理する。これは、フルスケール顔画像認識を可能にするものであり、他の光プロセッサが達成できなかったものである。

「このブレイクスルーは、光マイクロコムにより達成された。2020年5月に報告されたわれわれのインターネットデータスピード世界記録と同じである」(Moss教授)。

Google TPUなど、最先端の電子プロセッサは、100 TeraOPs/s以上で動作可能であるが、これは数万の並列プロセッサで行われている。それに対して、チームが実証した光システムはシングルプロセッサを使用しており、集積マイクロコム光源により時間、波長および空間的次元でデータを同時にインタリーブする新技術を使って達成された。

マイクロコムは、比較的新しいデバイスである。それは、シングルチップ上に数100の高品質赤外レーザで構成され虹のように動作する。それらは、どんな他の光源と比べても遙かに高速で、小型、安価である。

Dr Xuは、「わたしがそれらを共同発明してから10年で、集積マイクロコムチップは、非常に重要になっており、情報通信や処理でこれらの途方もない進歩を可能にしていることを見るのは、非常に感慨深い。マイクロコムは、世界の飽くなき情報ニーズを満たすために極めて有望である」とMoss教授はコメントしている。

「このプロセッサは、どんなニューロモルフィックハードウエアにも汎用の超広帯域フロントエンドとして使える、光あるいは電子ベースのいずれでもである。リアルタイム超広帯域データ向けの膨大なデータの機械学習が手の届くところにある」と共著者の一人Dr Xuはコメントしている。
 
「われわれは現在、将来のプロセッサがどのように見えるかを垣間見せられている。実際、マイクロコムの革新的利用により、われわれのプロセッサのパワーをいかに飛躍的に拡大できるかをそれは示している」(Dr Xu)。

RMIT教授、Mitchellは、「この技術はあらゆる形態の処理や通信に適用できる。非常に大きな影響を与える。長期的には、チップ上に完全集積システムを実現したい、それによりコストとエネルギー消費を大幅に低減できる」と話している。

「CNNsは、人工知能革命の中核にあったが、既存のシリコン技術は。処理スピードとエネルギー効率で、ますますボトルネックになってきている」(Damien Hicks教授)。
 同氏は、「このブレイクスルーは、新しい光技術がそのようなネットワークをいかに高速に効率的にするかを示しており、学際的な知見の利点を示すものである」と話している。

(詳細は、https://www.swinburne.edu.au)