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OIST、大きさ、電力、安定性を向上させたペロブスカイト太陽電池モジュールを開発

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February, 9, 2021, 沖縄--沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究者らは、欠陥を低減した新しい製造技術を用いて、安定性と効率を向上させたペロブスカイト太陽電池モジュールを作製した。
 研究成果は、Advanced Energy Materials誌に掲載された。

ペロブスカイトは、次世代の太陽電池技術として最も有望な材料の一つであり、この10年あまりで効率が3.8%から25.5%へと急上昇している。ペロブスカイト太陽電池は製造コストが安く、柔軟性をもつ可能性があるため、汎用性が高まっている。しかし、長期的な安定性の欠如とスケールアップの難しさという2つの障害が商業化への道を阻んでいる。

機能的な太陽電池デバイスでは、ペロブスカイト層が中央に位置し、2つの輸送層と2つの電極に挟まれている。ペロブスカイト活性層が太陽光を吸収すると、電荷キャリアが発生し、輸送層を介して電極に流れて電流を発生させる。

しかし、ペロブスカイト層のピンホールや個々のペロブスカイト粒子間の境界の欠陥によって、ペロブスカイト層から輸送層への電荷キャリアの移動が乱れ、効率が低下する可能性がある。また、これらの欠陥部位では、湿気や酸素によってペロブスカイト層が劣化し始め、デバイスの寿命を縮める可能性がある。

現在、製造されている太陽電池のほとんどは、厚さわずか500nmの薄いペロブスカイト層でできている。理論的には、ペロブスカイト層が薄いと、電荷キャリアが上下の輸送層に移動する距離が短くなるため、効率が向上するはず。しかし、より大きなモジュールを製造する場合、薄い膜にはしばしばより多くの欠陥やピンホールが発生することが明らかになった。

チームは、厚さが2倍のペロブスカイト膜を持つ5×5平方センチメートルと10×10平方センチメートルの太陽電池モジュールを製作することにした。しかし、より厚みのあるペロブスカイト膜を作るには、独自の課題があった。ペロブスカイトは、通常、多くの化合物を一緒に反応させて溶液を作り、結晶化させることで形成される物質の一種。

ペロブスカイトの厚い膜を形成するには、使用する前駆体材料であるヨウ化鉛を、十分な濃度で溶解する必要があるが、それは容易ではない。また、結晶化が速くて制御できないため、厚い膜には小さな粒が多く含まれ、粒界が多くなってしまうことも判明した。

チームは、ヨウ化鉛の溶解度を高めるために塩化アンモニウムを添加した。これにより、ヨウ化鉛の有機溶媒への溶解度が向上し、より均一なペロブスカイト膜を得ることができた。その後、ペロブスカイト溶液からアンモニアを除去し、ペロブスカイト膜内の不純物の量を削減した。
全体として、5×5平方センチメートルの太陽電池モジュールの効率は14.55%を示し、塩化アンモニウムを使用しないモジュールの13.06%を上回った。さらに、この80%以上の効率で1600時間(2ヶ月以上)も作動させることができた。

より大きな10×10平方センチメートルのモジュールでは、効率が10.25%で、1100時間以上、つまり約46日間、高い効率を維持した。

これらの成果によって、シリコン系太陽電池に匹敵する効率と安定性を備えた太陽電池モジュールを商業化可能なサイズで製造するために着実な一歩を踏み出した。

研究の次の段階では、溶液ではなく蒸気を使用する方法でペロブスカイト太陽電池モジュールを製作して技術をさらに最適化する予定。現在は15×15平方センチメートルのモジュールへスケールアップを試みている。
(詳細は、https://www.oist.jp)