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新しいアルゴリズム、世界最高の顕微鏡の焦点を先鋭化

February, 1, 2021, Berkeley--刑事もののTVドラマでは、刑事はきめが粗い低解像度の監視カメラを見ていて、ビデオに映るある人物に注目し、平然とCSI技術者に、それを「改善」するように言う。すると容疑者の顔が完全で鮮明な画像になる。これは、もちろん現実の世界ではありえない。多くの映画批評家やインターネット上の人々が指摘している通りである。

とは言え、実世界の研究者は、先頃、真の「強化」ツールを開発した。生物学や薬学で洞察する強力な顕微鏡の分解能と精度を高めるツールである。

Nature Methodsに発表された研究で、Tom TerwilligerをリーダーとするバークリーLab研究者を含むNew Mexico Consortiumの研究チームは、新しいコンピュータアルゴリズムが、クリオ電子顕微鏡(cryo-EM)で生成した3D分子構造マップの品質をどのように改善するかを証明した。

数10年間、多数の顕微鏡画像を撮り、画像処理ソフトウエアを適用した、このcryo-EMマップは、動物、植物、ウイルスで分子がどのように機能するかを知ろうとする研究者にとって重要なツールだった。また近年、cryo-EM技術が進歩し、多くの種類の分子で、原子レベルの分解能で構造を生成できるようになった。しかし、状況によっては、最も高機能のcryo-EM法でさえ、生成するマップが、複雑な化学反応の詳細を引き出すには、分解能が低く、不確実性が高いことがある。

「生物学では、分子の構造を知ることにより得るものは非常に大きい。このアルゴリズムの改善により研究者は電子cryo-EMデータから原子構造モデルを容易に測定できるようになる。これは、非常に重要な生体分子のモデリングにとって特に重要である。例えば、遺伝子コードの転写や変換に関わるものである。これらは、大きくて複雑な複合構造のために、低解像度マップでしか見られないことがある」(Paul Adams)。

そのアルゴリズムは、顕微鏡データの中で分子がどのように見えるか、ノイズの最良推定法と除去法についての既存知識に基づいてデータをフィルタリングすることで、分子マップをシャープにする。同様の理論ベースのアプローチは、X線結晶学から生成される構造マップの改善に以前に利用されたが、研究者はこれまでcryo-EMでのその利用を提案したことがなかった。しかし、Adamsによると、これまで、それがcryo-EMに機能するという決定的な証拠を示すことができなかった。

研究チームは、初めてそのアルゴリズムを一般に利用可能な人タンパク質アポフェリチンのマップ(3.1Å分解能を持つことで知られている)に適用した。次に、チームは、その機能拡張版と別の一般に利用可能な1.8Å分解能のアポフェリチン参照マップとを比較し、両者の間の改善された相関性を確認した。

次にチームは、そのアプローチを電子顕微鏡データバンクからの104のマップデータセットへのアプローチに利用した。これらのマップセットの大部分で、そのアルゴリズムは、実験マップと既知の原子構造との相関性を改善し、細部の可視性を高めた。

研究者によると、データの重要な細部を明らかにする上でのそれの明確な利点により、cryo-EMワークフローの標準部分の一部を前進させると考えられる。実際、Adamsは、すでにそのアルゴリズムのソースコードをPhenixソフトウエアスイートに加えた。これは、同氏が開発チームを主導した自動化マクロ分子構造ソリューション向けの人気の売るパッケージである。

研究チームは、cryo-EM技術の機能進歩、基礎科学的発見でそれの利用開発に継続的に取り組んだ。cryo-EMの発展を可能にし、後にそれを並外れた分解能したブレイクスルー発見の多くにバークリーLabの研究者が没頭した。

(詳細は、https://newscenter.lbl.gov)