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レーザでテーブルトップ超新星を実現

June, 12, 2014, Oxford--オクスフォード大学の研究チームは、レーザポインタよりも60兆倍強力なレーザビームを使って、宇宙で最もエネルギーに満ちた出来事の1つを研究する方法として、実験室で超新星規模の爆発を再現した。
 超新星の爆発は、星内部の燃料が再燃するあるいはそのコアが崩壊する時、爆発衝撃波を出す。この衝撃波は、爆発する星から数光年の宇宙を、わずか数100年で通過する。しかし、そのような爆発の全てが同じと言うわけではない。あるものは、カシオペア座Aのように不規則な形状を示す。
 このような特別な形状が生ずる理由を調べるために、オクスフォード大学の研究者は、国際研究チームを作り、宇宙で観察する代わりに、実研質で超新星爆発を研究する方法を考案した。
 実験室で超新星爆発を再現するために、研究チームはUK科学技術ファシリティ委員会のRutherford Appleton LabのVulcanレーザファシリティを利用した。「研究チームは、炭素ロッドターゲットに3つのレーザビームを集中することで始めた。ロッドは髪の毛ほどであり、低濃度のアルゴンガスを満たしたチャンバーに入っている」と同大学院生、Jena Meinecke氏は説明している。レーザによって数百万℃を超える膨大な熱が生成され、これによってロッドが爆発し、爆風が生ずる。爆風は低濃度の気体中を広がる。実験では、衝撃波前面を乱すためにプラスチックグリッドを使って、爆発する星を取り囲むガス塊、ガス雲をシミュレートした。
 「爆風がグリッドを通過すると、爆風がカシオペアからの画像のように不規則に乱れる。グリッドがない場合よりも、ある場合の方が磁場が強くなることが分かった。磁場が高くなることは電波、X線フォトンがより効率的に生ずることを意味するので、この結果から超新星の爆発が分散した星間物質に均一に広がるという考えは必ずしも正しくなく、塊状の物質を通過する衝撃波の数値モデルと観察の両方に一致することが確認できる」。
 「磁場は宇宙のどこにでも存在する。最初、ビッグバンのときには磁場が存在しなかったことは確かである。だから、この根本的な疑問は、どのようにして磁場が生じたか。宇宙で磁場が生まれ、発展するというストーリーの全貌を知ることに役立つので、この結果は重要である。また、この結果は、乱流が希薄な星間プラズマにおいて磁場を増幅するということの初めての実証になる」とシカゴ大学天文学&宇宙物理学Robert A. Millikan Distinguished Service Professor、Don Lamb氏はコメントしている。
(詳細は、www.ox.ac.uk)