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LED室内照明とスマートフォンで3D画像を撮る

January, 22, 2021, Glasgow--ストラスクライド大学(University of Strathclyde)の研究者によると、LEDs照明システムは、よりスマートな機能を全ての照明に付与できる。家庭でスマートフォンを使ってLED照明を調光するが、3Dイメージング向けの簡素な照明システムを実現するために動的に制御されたLEDsを利用することでこれをさらに進めることができた。

「公共交通に利用されているような現在のビデオ監視システムは、2D情報のみを提供するカメラに依存している。われわれの新しいアプローチを使って様々な屋内エリアを照射し、よりすぐれた3D画像による監視が可能になり、工場でスマートなワークエリアを作り、あるいはロボットに、より完璧な環境感知を付与することができる」と研究グループの博士課程学生、Emma Le Francoisは説明している。

Optics Expressで研究チームは、3D光イメージングが携帯電話とLEDsにより実行可能なことを証明している。ここでは、カメラと照明を同期させるいかなる複雑なプロセスも不要である。

「屋内にスマート照明システムを導入することで、室内のどんなカメラでも利用して周辺環境から3D情報を引き出せる。LEDsは多様なアプリケーションに向けて調査中である。例えば、光通信、可視光位置決めやイメージング。いずれ、屋内照明に使用されるLEDスマート照明システムが、これら全てのアプリケーションに同時利用されるようになるかもしれない」とLe Francoisはコメントしている。

上方から照射
人の視覚は脳に依存して、われわれの2つの眼がわずかに異なる方向から情景を見る際の奥行き情報を再構築する。奥行き情報は、照度差ステレオイメージングという方法でも取得できる。この場合、1つのディテクタまたはカメラが、多方向から来る照明と結びつけられる。このイメージングセットアップにより画像は、様々なシャドーイングで記録され、それは次に3D画像の再構築に利用できる。

照度差ステレオイメージングでは、伝統的にLEDsなど、4個の光源が必要になる。光源は、カメラの視軸の周りに対称的に配置されている。新しい研究では、チームは、対象物が上からトップダウンで照射され、横から撮像される時、3D画像が再構築できることを示している。このセットアップによりオーバーヘッドの室内照明が照射に利用可能になる。

UKのEPSRC ‘Quantic’研究プログラムでサポートされた研究で、チームは、個々のLEDを独特の方法で変調するアルゴリズムを開発した。これは、フィンガープリントのように機能し、3D再構築を容易にするために、どのLEDがどの画像を生成するかをカメラが決める。新しい変調アプローチは、それ独自のクロック信号をもっている。カメラだけを使ってLEDクロック信号をパッシブに検出するだけで画像取得がLEDsと自己同期できるようにするためである。

「われわれは、光源とカメラのリンクを除去することで照度差ステレオイメージングの導入を簡単にしたかった。われわれの知る限り、側方画像取得とトップダウン照射システムを実証したのはわれわれが初めてである。ここでは、光の変調はカメラと自己同期している」とLe Francoisは説明している。む

スマートフォンで3Dイメージング
 この新しいアプローチを実証するために研究チームは、市販入手可能なLEDsをベースにした照度差ステレオセットアップで変調スキームを使用した。単純なArduinoボードがLEDsの電子制御を提供。画像は、スマートフォンの高速ビデオモードを利用して取得された。撮像したのは高さ48㎜の人形で、イメージングを複雑にする光沢面を避けるために、つや消し素材で3Dプリントしたものである。

LEDsとスマートフォンのベストの位置を決めた後、研究チームは、42㎝離れて撮像したとき、その人形の再構築エラー、わずか2.6㎜を達成した。このエラーレートは、最高値の品質であり、他の照度差ステレオイメージングアプローチと同等であることを示している。チームは、動く物体の画像の再構築もでき、その方法が周辺光の影響を受けないことを示した。

現在のシステムでは、画像再構築は、ラップトップで数分かかる。そのシステムを実用的にするためにチームは計算時間を数秒に減らすことに取り組んでいる。これには、 生画像データから物体の形状の再構築を学習するディープラーニングニューラルネットワークを組みこむ。