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グラフェンベースのメムリスタ、脳ベースコンピューティングに有望

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December, 24, 2020, University Park--従来のコンピューティングの進歩は緩慢なので、新しいコンピューティング形式が最前線に出てきている。ペンステート(Penn State Materials Research Institute)では、工学チームが、脳のアナログ的な性質を利用しながら脳の神経網の効率性を真似るコンピューティングの開発に取り組んでいる。

現代のコンピューティングはデジタルである。ONとOFF、あるいは1と0という2つの状態でできている。アナログコンピュータは,脳のように,多くの可能な状態を持つ。光スイッチをON/OFFするのと、光量を変えるために減光スイッチを回すのとの違いである。

研究チームリーダー、Saptarshi Dasによると、神経形態学、つまり脳に触発されたコンピューティングは、40年以上も研究されている。同氏は、ペンステートの工学科学・メカニクス准教授。新しいことは、デジタルコンピューティングが限界に達したので、例えば自動運転車向けに高速画像処理の必要性がでてきたということである。ビッグデータの増加は、神経形態学コンピューティング追求のもう一つのドライバである。ビッグデータ、脳のアーキテクチャが特に適しているパタン認識を必要としているからである。

「われわれが強力なコンピュータを持っていることは間違いない。問題は、メモリをある場所に蓄積し、どこか他の場所でコンピューティングしなければならないことだ」(Das)。

メモリとロジックの間でデータをやり取りすることは膨大なエネルギーを必要とし、コンピューティングのスピードを遅くする。加えて、このコンピューティングアーキテクチャは、膨大なスペースを必要とする。仮にコンピュテーションとメモリの蓄積が同じ場所にあるなら、ボトルネックは解消される。

「われわれは人工のニューラルネットワークを構築しようとしている。これは、脳のエネルギーと面積効率をエミュレートするものである。脳は非常にコンパクトであるので、人の肩の上に収まる。それに対して現代のコンピュータは、テニスコート2面、3面のサイズの場所を占める」とThomas Schranghamerは言う。同氏は、Nature Communicationsに発表した論文の筆頭著者、Dasグループの博士課程学生。

再構成可能な脳のニューロンを接続するシナプスのように、チームが構築しようとしている人工ニューラルネットワークは、グラフェンシートに短い電界を印加することで再構成可能である。グラフェンシートは、カーボン原子の1原子厚層。この研究では、チームは、少なくとも16の可能なメモリ状態を構築できることを示している。一方、ほとんどの酸素ベースメムリスタは2である。

「われわれが示したものは、シンプルなグラフェン電界効果トランジスタを使い、多くのメモリ状態を正確にコントロールできることである」(Das)。

チームは、この技術を商用規模まで拡大することは実行可能であると考えている。最大規模の半導体企業の多くは、積極的にニューロモルフィックコンピューティングを追及しているので、そうした企業がこの研究成果に関心を示すとDasは見ている。

(詳細は、https://www.mri.psu.edu)