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大面積有機半導体単結晶を用いた高感度の歪みセンサを開発

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December, 23, 2020, 東京--東京大学大学院新領域創成科学研究科、同マテリアルイノベーション研究センター、産総研・東大先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ、物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA)、パイクリスタル株式会社の共同研究グループは、簡便な印刷法を用いて製造された大面積・高性能有機半導体単結晶ウエハーの表面に非破壊かつ高選択的に二次元電子系を形成するドーピング手法を新規に開発し、従来の金属製歪みセンサの10倍程度の感度を有する歪みセンサの開発に成功した。

 有機半導体は軽量性、柔軟性、印刷適合性などの観点から、安価に大量生産可能な次世代の電子材料として、現状のシリコン半導体に置き換わると期待されてきた。研究グループは、独自の有機半導体材料と印刷技術を用いることで、極薄有機半導体単結晶膜の4インチ級ウエハーを作製できることを実証した。分子が弱い相互作用で集合した有機半導体の単結晶を製造することが可能になってきた。しかし、このような分子の単結晶の結晶性を破壊することなく、不純物ドーピングを用いて安定的に電子を供給することはできなかった。これは特徴的な形や大きさを持つドーパント分子を導入することで、緻密に設計された分子の結晶性が乱されてしまうためである。 

今回、有機半導体単結晶薄膜とドーパント分子が溶解した溶液を接触させるだけの簡易な手法を用いて、有機半導体の表面に非破壊で高密度に二次元電子系を形成することに成功。分子が精緻に配列した単結晶性を維持できたことで、有機半導体単結晶が本質的に有する高い歪み応答性を維持したまま、デバイスの低抵抗化が可能となった。この新原理を用いた有機半導体歪みセンサは、従来の金属製歪みセンサの10倍程度の感度を有していることも特徴的。このドーピング手法を用いることで、さまざまな曲面に貼り付けることが可能なフレキシブル歪みセンサを大量に低コストで製造することが可能となる。

研究成果は、「Advanced Science」に掲載された。
(詳細は、https://www.k.u-tokyo.ac.jp)