コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

3Dプリントガラス、光学設計の柔軟性を増強

December, 18, 2020, Livermore--Lawrence Livermore National Laboratory (LLNL)の研究チームは、多材料3Dプリンティングを利用して、カスタマイズされた勾配屈折率のガラスオプティクスを作製した。これは、優れた軍用保護メガネやVRゴーグルになる。

その新技術は、フラットグラスコンポーネント(表面曲率なし)で様々な従来型および非従来型光学機能を達成でき、環境的な安定なガラス材料で新たな光学設計の多様性を提供できる。

研究チームは、2つのガラス形成ペイストの比率を能動的に制御することで材料組成の勾配を調整することができた。すなわち、3Dプリンティングのダイレクトインクライティング(DIW)法を利用して「インク」を混ぜ合わせて展開することができた。

「材料組成における変化は、、それをガラスに変換すると、屈折率の変化になる」とLLNL研究者、Science Advancesに発表した論文の筆頭著者、Rebecca Dylla-Spearsはコメントしている。

プロジェクトは2016年に始まった。研究チームが、積層造形を使ってオプティクスや光学系を前進させる方法を探し始めた時である。積層造形は、構造と組成の両方を制御できるので、勾配屈折率ガラスレンズの製造に新たな道を開いた。

勾配屈折率(GRIN)オプティクスは、従来仕上げのオプティクスの代替となる。GRINオプティクスは、材料組成に空間的勾配を含んでおり、これが材料屈折率に勾配を付与し、光が媒体を透過する仕方を変える。GRINレンズは、フラット形状であるが、同等の従来レンズと同様の光学機能を持つ。

GRINオプティクスは、眼の水晶体の進化により、すでに自然に存在する。ほとんどの種に例を見つけることができる。眼の水晶体の屈折率変化は、構造タンパク質の濃度を変えることによって制御される。

材料組成や光学機能を空間的に完全制御する機能は、GRINオプティック設計に新たなオプションを提供する。例えば、多機能を単一の光学部品に設計的に組み込める。一般的な光学収差の補正と組み合わせた焦点調節など。加えて、結合された表面曲率、屈折率勾配を持つオプティクスの利用は、光学系のサイズと重量を減らすことができる。

屈折率を調整することで、湾曲した光学系はフラット面と置き替え可能である。これによって最終コストの低減が可能になる。表面湾曲の追加は、バルクと表面効果の両方を利用する光を操作することが目的である。

新技術は、光学系の重量を減らすこともできる。例えば、戦場で兵士が使用するオプティクスは軽量でポータブルであることは、極めて重要である。

「3Dプリンティングにより2つの異なるガラス材料を統合し、光学部品としてのその機能を実証したのは、これが初めてである。GRIN向けに実証されたが、そのアプローチは、他の材料、あるいは光学特性を調整するためにも同様に利用できる」とDylla-Spearsは話している。

(詳細は、https://www.llnl.gov)