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TU Wien、赤外レーザパルスの実用性を高める

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December, 17, 2020, Wien--赤外光は、分子の検出に利用できるが、強力な短パルスレーザの実現は難しい。TU Wienで、新たなソリューションが見つかった。

通常の固体レーザは、可視光で光を生成する。しかし、多くのアプリケーション、分子の検出などでは、中赤外域の放射が必要とされる。そのような赤外レーザは、製造が著しく難しい。特に、そのレーザ放射が、極端に短い、強いパルスの形で要求されている場合である。

何年も前から研究者は、そのような赤外レーザパルスを生成する簡素な方法を探してきた。TU Wienで、ハーバード大学と協力して、これが達成された。その新技術は、大規模な実験セットアップを必要としない。小型化は容易であり、したがって実用的なアプリケーション向けでは特に関心が高い。新しい成果は、Nature Communicationsに発表された。

周波数コム
「TU WienのウルトラモダンNano=Centerで製造された特注の量子カスケードレーザ(QCL)で中赤外域のレーザ光を生成する」と固体エレクトロニクス研究所、Johannes Hillbrand、論文の筆頭著者は話している。通常の固体レーザでは、放出光のタイプは、材料の原子に依存するが、量子カスケードレーザでは、ナノメートル域の微小構造が極めて重要である。この構造を適切に設計することで、光波長は、精密に調整できる。

「われわれのQCLsは、単色光を出力するだけでなく、多様な周波数全域を出力する。これらの周波数は、極めて規則的に配置されており、櫛の歯のように、常にその間の距離が同じである」と研究リーダー、Benedikt Schwarz教授はコメントしている。

周波数コムの個々の光波は、正確に同期して振動することが可能である。また、相互に適切に重ね合わさり、短く強いレーザパルスを生成することができる。あるいは、振動間のシフトも可能であり、その場合、パルスは生じないが、ほぼ連続強度のレーザ光となる。

「QCLsでは、これら2つの変形間で切り替えることは、以前には難しかった。しかし、われわれはQCLに微小な変調器を構築した。光波は、繰り返しそれを透過する」とJohannes Hillbrandは説明している。この変調器に交流電圧を印加する。電圧の周波数と強度に依存して、様々な光振動をレーザに励起できる。

「この変調器を正確に適切な周波数で駆動すると、周波数コムの多様な周波数を全て同期して振動させることができる。これにより、これらの周波数を短い、高強度レーザパルスに統合することが可能になる、これは1秒に120億回以上のパルスである」とBenedikt Schwarzは話している。

赤外短パルスレーザに対する制御は、半導体レーザでは以前にはできなかった。非常に高価で損失の多い方法を使って、どうにか同じ種類の光を生成できた。「われわれの技術は、微小化できるという決定的な利点がある。それを使ってコンパクトな計測装置を作ることができる。例えば、これらの特殊なレーザビームによりガスサンプルに非常に特殊な分子を探し出す。レーザパルスの高強度により、同時に2つのフォトンを必要とする計測も可能になる。
(詳細は、https://www.tuwien.at)