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EPFL、「ゲームチェンジャー」ペロブスカイトでガンマ線検出

December, 17, 2020, Lausanne--EPFLの研究チームは、画期的なペロブスカイト材料を開発した。これは、ガンマ線ディテクタの安価で高効率な代替として使うことができる。
 ペロブスカイトは、金属に結び付いた有機化合物で構成される材料である。その構造と特性のために材料研究の最前線に押し出されており、ペロブスカイトには広範なアプリケーションがある、太陽電池、LED光、レーザ、フォトディテクタなどだ。

その最後のアプリケーション、フォト=光、ディテクションは、特にEPFLの基礎科学学部、ガンマ線を検出できるペロブスカイトを開発した研究者の関心が高い。László Forró と Andreas Pautz教授をリーダーとする研究者は、研究成果をAdvanced Scienceに発表した。

「この太陽光発電ペロブスカイト結晶は、キログラムサイズで成長させており、ゲームチェンジャーである。シリコンのように、オプトエレクトロニックアプリケーション向けにそれをウエファにスライスする。論文では、ガンマ線検出でそれが利用できることを証明した」(Forró教授)。

ガンマ線モニタリング
ガンマ線は、一種の透過性電磁放射。原子殻、たとえば原子殻、超新星爆発でさえ、その放射線崩壊から生成される。ガンマ線は、電磁スペクトルの最短端にあるので、周波数、エネルギーとも最高である。そのため、ガンマ線は、ほぼどんな材料にも浸透する。また、国土安全保障、天文学、産業、原子力発電所、環境モニタリング、研究、医療でも腫瘍や骨粗鬆症の検出やモニタリングなど、用途は幅広い。

しかしガンマ線は、生物組織に影響を与えるという理由で、われわれはガンマ線を監視できなければならない。そのためにわれわれは、簡素で高信頼、安価なガンマ線ディテクタを必要としている。EPFLの研究者が開発したペロブスカイトは、メチルアンモニウム三臭化鉛(MAPbBr3)に基づいており、理想的な候補と考えられ、これらの要件のすべてを満たしている。

明確な利点
ペロブスカイトは、まず結晶として成長される。太陽光パネルのようなデバイスで利用できる薄膜にしたときに、その結晶の品質と透明度が、その材料の効率を決める。

EPFLの研究者が作製したペロブスカイト結晶は、高い透明度、低不純物含有であることが示されている。研究チームは、その結晶でガンマ線をテストし、それが高「移動度寿命積」のフォトキャリアを生成することを確認した。要するに、そのペロブスカイトは、単純な比抵抗測定により、室温で効率的にガンマ線を検出できる。

安価で拡張性のある合成
ペロブスカイトの「金属ハロゲン化物」ファミリの一部、MAPbBr3は市場にある結晶とは違い、その結晶は豊富で低コストの原材料から成長させることが可能である。合成は、室温に近い溶液内で起こり、高価な装置は不要である。

言うまでもなく、これはガンマ線検出に作製された初めてのペロブスカイトではない。しかし、このために使用されるほとんどの研究室成長の金属ハロゲン化物ペロブスカイトの大きさは約1.2 ml程度が限界である。つまり、商用レベルに拡張することは困難である。しかし、EPFLのチームは、「配向結晶-結晶連晶」という独自の方法を開発し、総重量3.8kgの結晶全体を作製することができた。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)