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光干渉効果を利用し、低コストで有機薄膜太陽電池を飛躍的に高効率化

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November, 27, 2020, 広島--広島大学の尾坂格教授、斎藤慎彦助教、山形大学の横山大輔准教授、京都大学の大北英生教授、千葉大学の吉田弘幸教授らの共同研究チームは、半導体ポリマとフラーレン誘導体を用いた塗布型有機薄膜太陽電池(OPV)に、少量の長波長吸収材料を加えるだけで、大幅に発電効率が向上することを発見した。

OPVは半導体ポリマをプラスチック基板に塗って作製できるため、コストや環境負荷を抑えることができ、大面積化が容易。また、軽量で柔軟、透明であり、室内光下で変換効率が高いという特長を持つことから、IoTセンサ、モバイル・ウェアラブル電源や窓、ビニールハウス向け電源など、現在普及している無機太陽電池では実現が難しい新たな応用を切り開く次世代太陽電池として注目されている。OPVの実用化には発電効率の向上が最重要課題であるが、そのためには、OPVができるだけ多くの太陽光を吸収できるようにすることが不可欠。

今回、共同研究チームは、広島大学の研究グループが以前に開発した結晶性の高い半導体ポリマとフラーレン誘導体の混合膜に、長波長吸収帯をもつ化合物を重量比で6%だけ少量添加すると、OPVの発電効率が1.5倍も向上することを見いだした。山形大学の研究グループが分光エリプソメトリ解析の結果を基にOPVの光学シミュレーションをしたところ、光干渉効果によって少量添加した化合物の光吸収強度が大きく増幅されたことが分かった。さらに、京都大学の研究グループが過渡吸収分光法を用いて電荷生成メカニズムを解析した結果、少量添加した化合物は、半導体ポリマとフラーレン誘導体の界面に偏在しており、これにより効果的に電荷が生成することが明らかになった。共同研究チームは、このような光増感作用と緻密に制御された材料のミクロな集合構造が、今回のOPVにおける発電効率向上の鍵であると考えている。今後、半導体層に用いる材料を改良することで、さらに飛躍的な発電効率の向上が期待できる。

研究成果は、アメリカ化学会の科学誌「Macromolecules」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.hiroshima-u.ac.jp)