コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

スタンフォード、脳の成長を支える数学的法則を明らかに

November, 20, 2020, Stanford--生命にはパターンが溢れている。生き物が成長にともない一連の同じような特徴を反復的に作り出すのは一般的である。
 脳も例外ではないことが分かっている。最先端の顕微鏡と数学的モデリングを使うことで、スタンフォードの研究者は、脳細胞、つまりニューロンの成長を支配するパターンを発見した。同様の法則が体内の他の細胞の発展をガイドする。また、それらを理解することが生体工学の人工組織や臓器の成功にとって重要である。

Nature Physicsに発表された研究は、脳が多くのタイプのニューロンを含み、どんなタスクでも複数のタイプの協力が必要であるという事実に基づいている。研究チームは、適切な種類のニューロンが、脳を構成するために最適位置に組織化されることを可能にする見えない成長パターンを発見したかった。

「補完的な機能をもつ細胞がどのように自己組織化して、機能組織を構築するか。われわれは脳を研究することでその問いに答えることを選んだ。単純なパタニング法則を持つには脳は複雑すぎると一般に考えられていたからである。実際、そのようなルールがあることを発見してわれわれ自身驚いた」とバイオエンジニアリング准教授、Bo Wangはコメントしている。

研究チームが研究のために選んだ脳は、プラナリアン、ミリメートル長の扁平動物のものである。それは、切断毎に新しい頭を再成長させることができる。まず、研究チームは、蛍光染料を使ってその扁平動物の異なるタイプのニューロンをマークした。次に、高解像度顕微鏡を使って、脳の全体画像、発光するニューロンなど全てを捉えた。次にそのパターンを分析して、その構築をガイドする数学的法則を抽出できるかどうかを調べた。

分かったことは、各ニューロンは、似たような隣接の10程度のニューロンで囲まれているが、その中に他の種類のニューロンが散在することである。この固有の配置の意味は、よく似た一方と全く同じものは1つも存在しないと言うことであり、一方で、それでもなお、タスクを完了するために協働できるほど近い異なるタイプの補完的ニューロンが可能であることである。

研究チームは、、このパターンが、扁平動物の脳で何度も何度も繰り返され、連続的な神経網を形成することを確認した。化学工学准教授、共著者、Jian Qinとポスドク研究者Xian Kongは、コンピュータモデルを開発し、機能的隣接のこの複雑なネットワークがニューロンの傾向からでたものであることを示した。これは、同じタイプの他のニューロンと近すぎないように可能な限り密接にパックされている。

神経科学者は、いずれ、ヒトの脳でニューロンのパターン化を研究するためにこの方法を適用するが、その技術は、新しい再生医療に適用するとさらに役立つとスタンフォードの研究者考えている。

基本的な考えは単純である。再生医療は、全ての細胞タイプが引き出せる幹細胞、強力で一般的目的の細胞を誘発し、様々な特殊な細胞に成長させたい。肝臓、腎臓、心臓などを形成するためである。しかし、心臓を鼓動させるには、研究者は、そうした多様な細胞を適切なパターンに配置する必要がある。

「生命体がどのように成長して有用な機能を実行するかと言う問題は、何世紀もの間、科学者を魅了してきた。今日の技術では、われわれはこれらの成長パターンの理解を細胞レベルに限定するのではなく、これらの法則を生体工学アプリケーションのために実行する方法も見つけることができる」とWangは話している。