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EPFL、光増幅に空気を利用

August, 31, 2020, Lausanne--EPFLの研究者は、中空コア光ファイバで光を増幅できる技術を開発した。これは将来の通信にとって有望なブレイクスルーとなる。

EPFL工学部ファイバオプティクグループ長、Luc Thévenazによると、そのアイデアは15年前から同氏の頭にあったが、今回ついに、同氏の研究室が、最新の中空コア光ファイバ内の光を増幅する技術を開発した。

円を正方形にする
今日の光ファイバは通常、固体ガラスコアを持つので、その内部に空気が存在しない。光は、ファイバに沿って伝搬するが、その強度は15km後に半減する。:減衰を続けて、ついに300kmで検出できなくなる。したがって光が伝搬し続けるには、一定間隔で増幅されなければならない。

Thévenazのアプローチは、空気または気体で満たされた新しい中空コア光ファイバに基づいている。「空気は、減衰が少ないことを意味する。したがって光はもっと長く伝搬できる。それか実際的な優位性である」と同教授は言う。しかし空気のような薄い物質では、光を増幅することはもっと難しい。「それが最も重要な点である。抵抗がなければ光はもっと高速に伝搬するが、同時に作用を及ぼすことが一層困難になる。運良く、われわれの発見はその円を正方形にしたのである」。

赤外から紫外へ
研究者がしたことは何か。「われわれは、ある程度、制御された抵抗が得られるように、ファイバ内の空気に圧力をかけただけである」とポスドク学生、fan Yangは説明している。「それは、光ピンセットと同じように機能する。空気分子は圧縮され、規則的間隔のクラスタを形成する。これが音波を作る。それが振幅を高め、強力な光源から弱くなったビームへ光を効果的に回折する。つまり100000倍に増幅されるのである。したがって、その技術は光を著しく強力にする。「われわれの技術は、赤外から紫外まで、どんなタイプの光にも適用できる。またどんな気体にも適用できる」と同氏は説明している。研究成果は、Nature Photonicsに発表された。

極めて正確な温度計
その技術は、光増幅に加えて他の目的でも役立つ。中空コア、つまり圧縮ガス光ファイバは、例えば、極めて正確な温度計の実現に使える。「われわれは、ファイバに沿ったどんなポイントでも温度分布を計測できる。したがって、トネルで火災が発生すると、所定のポイントでの温度上昇に基づいて正確にどこで発生したかを知ることができる」とPh.D学生、Flavien Gygerは言う。同技術は、ファイバ内にマイクロ秒、光を止めることで一時的光メモリを作成するためにも使える。これは現在可能なよりも10倍長い。
(詳細は、https://actu.epfl.ch)