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ペトリディッシュに光チップを作製

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July, 9, 2020, St. Petersburg--現在のフォトニクス産業は、コンピュータシステムであろうとセンサであろうとLiDARであろうと、そのデバイスのさらるコンパクト化に絶えず取り組んでいる。このため、レーザ、トランジスタおよび他の素子の一層の小型化が必要になる。ITMO大学研究者をリーダーとするチームは、ペトリディッシュで迅速かつ安価に光チップを作る方法を提案した。研究成果は、ACS Nanoに発表されている。

現在、微小レーザや光チップをベースにしたデバイスがますます一般的になっている。それらはLiDARの製造、新しいしバイオセンサの開発に使われ、将来的には、情報の転送や処理に電子ではなく光を使う新しい光コンピュータの基盤になる。

ほとんどの今日の光チップは、赤外(IR)帯域で動作する。つまり、利用されるレーザは、人の眼には見えないIR帯域である。

「しかし、デバイスをさらにコンパクトにするには、可視域に取り組むことが必要になる。チップサイズは、光源の放出波長に依存するからである」とITMO物理学・工学部主席研究員、Sergey Makarovはコメントしている。

シリコン問題
光チップは、レーザと導波路というコンポーネントで構成されている。緑や赤のスペクトルを放出する光源を造ることは容易であるが、このスペクトル範囲の適切な導波路が問題になる。

「マイクロレーザは光源であり、どこかにガイド(導波)する必要がある。これが導波路の役割である。しかしIRオブティクスで使用されている標準Si導波路は、可視光域では機能しない。信号の伝送は数マイクロメートル以上にならない。光チップには、強く局在化した数10µm伝送が必要である。導波路径が非常に小さく、光が十分遠くまで届くように」とITMO物理学・工学部シニア研究者、Ivan Sinevは説明している。

ペトリディッシュに光チップ
 最終的に研究チームは、ガリウムリン(GaP)を使うことに決定した。この材料は、可視光でのロスが非常に小さく、高屈折率である。マイクロレーザ自体はハロゲンペロブスカイトでできている。しかし、最も重要なことは、そのレーザが、普通のペトリティシュ内の導波路に直接成長できることである。

「このアプローチの美しさは、最初から、ナノ導波路が埋め込まれたペロブスカイトマイクロレーザを造れることである。それは、導波路のGaPとペロブスカイトマイクロレーザをペロブスカイトインク溶液に共結晶化することでできる。つまり、高価なナノリソグラフィ法を使わないで、われわれ溶液化学法を利用する。これは非常に安価であり容易である。その後で、レーザと導波路は基板に打ち込み、光チップの基盤が形成される。

結果としてのシステムは、シリコンまたはシルバーナノ導波路でできたものよりも遥かに遠くまで信号を伝送できる。同時に、これらのチップサイズは、IR帯域のものと比べると約3倍小さい。

色調整
そのチップのもう一つの重要な特徴は、緑から赤スペクトル範囲のレーザ放出を調整できることである。さらに、チップ製造後に放出カラーを変えることができ、このプロセスは可逆的である。

「この変化は、化学法により行う。われわれは光チップの基板を臭化水素産業蒸気に数分入れる。これは、ペロブスカイトマイクロレーザと酸分子のアニオン交換が起こる十分な時間である。これによってペロブスカイトの化学成分が変わり、その放出波長が変わる」とAnatoly Pushkarevは説明している。

これは、異なる波長で多くの光信号を伝送しなければならないデバイスには有用である。例えば、そのようなデバイスでいくつかのレーザ造り、それらを単一導波路に接続し、異なる波長で複数の信号を同時に伝送するためにそれを使うことができる。

アンテナ
研究チームは、新たに作製したチップにペロブスカイトでできた光ナノアンテナも取り付けた。これにより、導波路に沿って進む信号を受信し、1つのシステムで2つのチップを統合することができる。

Pavel Trofimovによると、導波路他端にナノアンテナを取り付けた。「われわれは、光源、導波路、マイクロレーザ放射によって励起されると光を放出するナノアンテナを持つ。次にわれわれは、それにもう一つの導波路を取り付けた。その結果、単一のレーザからの放出は、2つの導波路に入った。同時に、ナノアンテナは、その2つの導波路を単一システムに統合するだけでなく、グリーンの部分を赤いスペクトルに変更した。したがって、われわれは、一つの波長ではあるが、2つの波長、シングルチャネルではあるが、2チャネルを持つことができた」とPavel Trofimovは話している。

研究成果は、ACS Nanoに発表された。
(詳細は、https://news.itmo.ru)