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Science/Research 詳細

迅速、非接触寸法計測に新しい光学的方法

June, 12, 2020, Barcelona--ナノスケールの特徴をもつスマート表面の量産は、高速、正確な品質制御技術を必要とする。この目的のための新方法がScientific Reportsに発表された。元ICN2ポスドク研究者、Phononic and Photonic Nanostructures Group、Guy Whitworthがこの研究の筆頭著者。新方法では、回折を使い研究対象の臨海寸法を測定する。研究は、FLEXPOL EUプロジェクト内に組み込まれていた。プロジェクトは、病院での利用向けにコスト効果の優れた抗菌性接着膜製造用パイロットラインを開発しようとしている。

ナノスケールおよびマイクロスケールの特徴を持つスマート表面は、現代社会で幅広い分野にアプリケーションがある。エレクトロニクス、セキュリティ、フォトニクス、マイクロ流体など。高スループットナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術により、そのようなデバイスと表面の量産が可能になる。品質制御目的で、検査技術は、これらの高速パタニング技術に適合していなければならない。つまり、大面積臨界寸法計測に高速に適合していなければならない。その結果、製造速度と同じペースを保つ迅速かおつ非破壊寸法計測の需要がますます増加している。

これは、以前のポスドク研究者Dr Guy Whitworthが、他の研究者とともにICN2で紹介したものである。研究チームは、新しいリアルタイム光拡散計測技術、回折法を提案した。光学検査で回折次数が多いときに中規模で適用できる。研究成果は、Scientific Reportsで読むことができる。

複雑な構造決定では、光拡散計測は広く用いられる技術になっている。光拡散計測技術は、入射角または波長などの変化量の関数として表面からの散乱光を調べる。この表面散乱応答は、次にシミュレートデータのライブラリと比較され、計測応答をコンピュータ予測に適合させる。

この提案技術は類似の原理で有効である。撮像した回折パタンと理論的に計算されたライブラリとを比較し、光回折パタンを使って調べた物体の臨界寸法を計測できる。この技術では、波長や入射角と違い、回折効率が回折次数の関数として利用される。
 
研究チームは、多様な構造パラメータを持つシリコングレーティングの検査でこの方法を評価した。チームは、この計測をFIB、SEMおよびスキャニングスティラスプロフィルメトリと比較し、回折法が構造的欠陥と表面欠陥を非常に高感度に検出することを示し、高忠実領域と不完全性の高い領域を容易に特定できる。また、様々なインプリンティング温度で、熱インプリントされた構造も計測し、その方法がナノインプリントリソグラフィでインライン品質制御に適していることを実証した。

提案した研究に加えて、チームはリアルタイム回折法インラインUVアシストロールツーロールナノインプリント、ラボ計測ツールへの組み込み可能性を探求している。それは有望ではあるが、ロールツーロールNILプロセス中、安定性の技術問題はまだ解決されていない。チームは、回折法が、量産マイクロ構造製造の重要な品質制御検査技術になり、~10nmまでの臨界寸法精度が可能になると見ている。

この研究は、FLEXPOL EUプロジェクトに組み込まれた。プロジェクトの狙いは、病院で使用する抗菌性接着膜をコスト効果よく製造するパイロットラインの開発である。プロジェクトの考えは、これらの膜を壁や床などに適用し、微生物による汚染を大幅に最小化することである。これは特殊開発のナノ構造および抗菌性オイルブレンドを含むポリマ材料によって達成される。研究チームは、これらナノ構造の特性の大きさを減らし、類似の計測分析ができるなら、この技術は、院内感染を防ぐための素晴らしい候補になる。

(詳細は、https://icn2.cat)