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新しいフラットレンズでフォーカスフリーカメラを実現

April, 28, 2020, Washington--厚さが1インチの1/1000程度の単レンズを使い、研究チームは焦点調整が不要なカメラを作製した。その技術は、ほとんどのスマートフォンに搭載されているような、従来のカメラに対して大きな利点を提供する。従来型カメラは、高品質で焦点の合った画像を作るには多数のレンズを使用する必要がある。

「われわれのフラットレンズは、カメラや他のイメージングシステムの重量、複雑さ、コストを飛躍的に低減できる。同時に機能を高める」とユタ大学(University of Utah)、研究チームリーダー、Rajesh Menonは説明している。「そのようなオプティクスは、スマートフォンカメラを薄くし、内視鏡などバイオメディカルイメージング用の改善された、より小さなカメラ、また自動車用の多くのコンパクトなカメラを可能にする」。

Opticaで、研究チームは、新しいフラットレンズを説明し、相互に約6メートル離れた対象物の焦点を維持できることを示している。フラットレンズは、光が進む経路をコントロールする重要な光学特性を達成するために大きなガラスやプラスチックではなく、フラット面にパタン化されたナノ構造を使う。

「この新しいレンズは、写真以外に多くの興味深いアプリケーションを可能にする。例えば、自動運転車を含む多くの自律走行システムで重要になるLiDAR用に高効率照射を作る」とMenonは話している。

研究チームによると、利用した設計アプローチは、超広帯域、製造のしやすさ、低コストなど、多くの特性を持つ光学コンポーネント実現に拡張可能である。

教科書への疑問
従来のカメラ、スマホ用でも顕微鏡用でも、対象物の細部を確実に鮮明にするために焦点合わせを必要とする。カメラからの距離が違う対象がたくさんある場合、各対象物は独立して焦点合わせをしなければならない。

「その新しいレンズは、焦点合わせの必要性をなくし、どんなカメラでも全ての対象物が同時に焦点が合っているようにする。従来のカメラは、マルチレンズを使って光の異なる色が同時に焦点が合っているようにする。われわれの設計は非常に汎用的であるので、われわれはそれを使って単一のフラットレンズを作り、全ての光の色の焦点を合わせ、カメラを一段と簡素化できる」とMenonは話している。

光の焦点を合わせるために従来のレンズは、平行光波を焦点に集光する球面波に変える。決定的なブレイクスルーでは、研究チームは他の形状の波が同じ効果を生み出すことに気づき、可能なレンズ設計の数を大幅に増やした。

「光学教科書で教えられることと著しく異なり、われわれの研究は、ひとみ関数として知られる理想的なレンズにより影響を受ける光透過は1つより多いことを示している。これは基本的に、レンズひとみ関数に無限の可能性を開いた。また、われわれはこれらの可能性を調べて、焦点極深度を達成するものを見いだした」とMenonはコメントしている。

実験的確認
焦点深度のためのベストのレンズ設計を選択した後、研究チームはナノファブリケーション技術を使ってプロトタイプレンズを作製した。実験により、その新しいレンズが期待通りであり、同等の従来のレンズと比較して数桁大きな焦点深度を達成してることを確認した。

研究チームは、赤外光と比較的低いNAを使い、その新しいレンズを実証した。NAは、レンズが光を受け容れ、放出する角度の範囲を特徴づける数字。チームは、そのレンズをもっと大きなNAsに拡大し、それを全可視光スペクトルで使用する計画である。そのレンズが確実に量産できるように取り組むことが、商用化の前に必要である。

「この研究は、従来の考えを捨てることで、以前には不可能と考えられていたデバイスがどのように可能になるかを示す好例である。過去からの指示を疑う優れた注意として役立つ」とMenonは話している。