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NIST、微小なナノ粒子計測問題を解決

January, 9, 2020, Gaithersburg--NISTの研究者によると、たとえほとんどの消費者が、その存在に気づいていなくても、微小なナノ粒子は、現代生活で壮大な役割を担っている。日焼け止めの重要な成分であり、ソックスでアスリートの脚筋腫菌を防ぎ、バンデージの細菌と闘っている。人気のあるキャンディの色を強化し、ドーナツ上に粉砂糖を粉のままにしている。ガン治療では、特定のタイプの細胞を標的にする最先端の薬剤にさえ使われている。

しかし、化学者がサンプルを分析する際、1枚の紙の厚さの10万倍小さいことがあるため、これらの粒子のサイズや量の計測は骨が折れる。ナノ粒子の評価には多くの技術的オプションがあるが、どの技術がベストであるかについては、専門家の間で合意できていない。

NISTと協力研究機関が発表した論文では、研究チームは、ナノ粒子では、単に平均粒子サイズではなく、幅広いサイズの計測が、ほとんどのアプリケーションにとって適していると結論づけた。

NISTのElijah Petersen、論文の筆頭著者は、「それは単純な選択のように見えるが、評価結果に大きな影響を与える」とコメントしている。

多くの計測問題と同様、精度は重要である。あるナノ粒子の一定量に触れることは、逆効果になり得る。薬剤開発者は、薬剤の効力を最大化するために正確さを必要とすることがある。また、環境研究者は、例えば、金、銀あるいはチタンのナノ粒子の数が、土壌あるいは水の生物を危険にさらす可能性を知る必要がある。

一貫しない計測が原因で、一つの製品に必要以上のナノ粒子を使用することも、メーカーにとっては無駄なコストになる。

最先端に聞こえるかも知れないが、ナノ粒子は新しくないし、ハイテク製造工程だけに基づいているわけでもない。ナノ粒子は、実際、少なくともそのサイズの一つが、100nm以下のサブミクロン粒子に過ぎない。数10万のナノ粒子をpinの頭に置くことができる。大きなスケールのものと比べると、多くの材料はナノメートルスケールでは振る舞いが違うので、研究者にとってはナノ粒子は素晴らしい。また、ナノ粒子は多くの役に立つことができるように作れる。

ナノ粒子は、古代メソポタミアの時代から使われてきた。当時、セラミック技術者が、極微金属を使って、花瓶や他の容器を装飾した。4世紀ローマでは、ガラス職人が金属を微小粒子にし、多様な照明下で商品の色が変わるようにした。こうした技術は、しばらく忘れられていたが、1600年代に能力のあるガラス製造メーカーが再発見した。さらに、1850年代に、科学者、マイケル・ファラデーが、金粒子のパフォーマンスを変えるために様々な種類のウォッシュミックスを使う方法を幅広く研究した。

近年のナノ粒子研究は、オプティクス技術のイノベーションにより、20世紀中ごろに急速に進歩した。個々の粒子を見て、その挙動を調べることができることにより、実験の可能性が拡大した。しかし、最大の進歩は、実験ナノテクノロジーが1990年代に立ち上がってからである。突然、金や他の多くの物質の単一粒子の挙動を綿密に調べ、操作できるようになった。少量の物質が光を反射し、吸収し、あるい挙動を変える方法の発見はたくさんあり、ナノ粒子をもっと多くの製品に組み込むことにつながる。

それ以来、その計測についての議論が始まった。ナノ粒子に対する細胞、有機体の反応を評価するとき、研究者の中には粒子数濃度(PNCs)の計測を好む者がいる。最終計測を決める際に特別な式を使用しなければならないので、PNCsは難しいと考えるものが多い。質量計測、表面濃度計測を好むものもいる。

PNCsは、化学で金属の特性評価に使用されることが多い。しかし、溶存有機物質、非有機物質の場合と比べると、ナノ粒子の状況は、本質的に複雑である。溶解化学とは違い、ナノ粒子は、サイズが様々であり、試験物質を加えるとくっつき合うことがある。

「溶解化学では、定義により、常に同じ分子式をも用いる。しかし、ナノ粒子は、単に原子の数が一定であるだけではない。あるものは9ナノメートル、あるものは11、またあるものは18、あるものは3ナノメートルかも知れない」とPetersenは言う。

問題は、それらの粒子の各々が、重要な役割を遂行しているかも知れないことである。ある産業アプリケーションにとっては、粒子数の推定だけで完璧であるが、治療アプリケーションは、遙かにロバストな計測を必要とする。例えば、ガン治療の場合、各粒子は、大きかろうと小さかろうと、必要な解毒剤となっているかもしれない。また、他の種類の用量と同じように、安全で効果があるためには、ナノ粒子用量は正確でなければならない。

Petersenによると、PNCの計算に粒子サイズの範囲を利用することは、ほとんどの場合、最も役に立つ。サイズ分布は、平均を使用しないが、粒子サイズの完全な分布に留意する。サンプルにいくつの粒子があるかを効果的に発見するために式を使えるようにすることが目的である。

どんなアプローチを使おうと、研究者は、他の研究との比較可能性のために、それぞれの論文でそれを記録する必要がある。「多様なアプローチが同じ結果をもたらすと仮定してはならない」と同氏は言う。

さらに同氏は、ナノ粒子に対するコーティングが計測にいかに影響を与えるかに驚かされた、と付け加えている。コーティングによっては、プラスの電荷を持ち、凝集を起こす。

Petersenは、スイス連邦の研究所、3Mの研究者とも協働した。

(詳細は、https://www.nist.gov)