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新しいレーザ技術、量子材料の動的プロセスを捉える

December, 24, 2019, Vancouver--ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbiaの研究者は、電子が固体の原子振動とどのように相互作用するかをフレームごとに初めて記録することができた。その技術は、一般的に、物質の電気抵抗を起こすプロセスを捉える。一方、他の例では、全く逆の原因となる。抵抗がない、つまり超電導である。

「電子が相互作用する仕方、その微小環境がすべての固体の特性を決める」とブリティッシュコロンビア大学のPh.D学生、MengXing Naは言う。「材料特性を決める優勢な微小相互作用を同定すると、われわれは有用な電子特性を引き出す相互作用を上げたり下げたりする方法を見つけることができる」と話している。

これらの相互作用を制御することは、量子材料の技術的活用にとって重要である。例えば超伝導、これはMRI装置、高速磁気浮上列車に利用されており、いずれエネルギーのトランスポート(伝送)法を変革する。

微小スケールでは、全ての固体の原子は、絶えず振動している。電子と原子の間の衝突は、電子と振動との間の「散乱」事象、フォノンと考えることができる。散乱が原因で電子は、その方向とエネルギーを変えることができる。そのような電子とフォノンの相互作用は、多くの未知の物質の中心にあり、そこでは物質が固有の特性を示している。

Gordon and Betty Moore Foundationの支援で、UBCの Stewart Blusson Quantum Matter Institute (SBQMI)チームは、新しい極紫外レーザ(EUV)光源を開発した。超高速時間スケールで電子散乱プロセスを可視化するための時間分解光子放出分光法を可能にする光源である。

「超短レーザパルスを利用することで、その通常の平衡環境から個々の電子を励起した。効果的なカメラシャッタとして第2レーザパルスを使い、1秒の1兆分の1よりも高速の時間スケールで電子が周囲の原子とともにどのように散乱するかを捉えた。われわれのセットアップが非常に高感度なので、初めて直接、励起電子が特定原子振動、つまりフォノンと相互作用する仕方を計測することができた」とNaは説明している。

研究チームはグラファイト、大きなボールとグラファイトで実験をおこなった。グラファイトは、炭素の結晶形式であり、カーボンナノチューブの親化合物。カーボンベースエレクトロニクスは成長産業であり、電気抵抗に寄与する散乱プロセスが、ナノエレクトロニクスにおいてアプリケーションを制限しているかもしれない。

そのアプローチは、David Jonesと Andrea Damascelliが考案し、Arthur MillsがUBC-Moore Centre for Ultrafast Quantum Matterで開発した独自のレーザファシリティを利用する。研究は、スタンフォード大学のThomas Devereaux、North Carolina State UniversityのAlexander Kemperのグループが理論的に協力し、サポートした。

「パルスレーザ光源の最近の進歩により、量子材料の動的特性の可視化が始まったばかりである」とUBC’s SBQMI and department of Physics and Astronomy.のJones教授はコメントしている。

「この画期的な技術を適用することで、高温超伝導の捕まえにくいミステリー、量子物質の多くの他の魅力的な現象を明らかにしようとしている」とDamascelliは話している。