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コンパクトなアレキサンドライトレーザで複合気象データ収集

December, 13, 2019, Aachen--大気上層は、気象研究者にとってますます関心が高くなっているが、40km以上の領域は、上層大気探査ロケットでしか直接アクセスできない。ダイオード励起アレキサンドライトレーザを使う新開発のLiDARシステムが、間もなくそのような遠隔からの研究を可能にする。大気物理学ライプニッツ研究所(IAP)とフラウンホッファILTの研究者が、容易に輸送できるだけでなく、独立に機能するシステムを開発している。将来、LiDARネットワークが、大気からのデータを連続的に,大規模に供給することができるようになる。

気候の変化は、ホットなトピックである。それを科学的に理解することは、大気中の気温や風の分布の有効モデルを必要とする。熱圏までの上部成層圏(30-120 km)における計測は、実施が難しい。画期的な地上ベースLiDARシステムが、このデータを収集する新しいアプローチを可能にする。

1990年代から、Kühlungsborn のIAPは、独自のLiDARシステムで中間圏の研究を開拓してきた。そのフラッグシップランプ励起アレキサンドライトレーザのため、システムは完全な船舶用コンテナいっぱいになっている。それが膨大なエネルギーを消費し、複合的配置を必要とするので、その用途も限られていた。

ダイオード励起アレキサンドライトレーザでブレイクスルー
IAPとフラウンホッファILTの専門家は、長期の双務的プロジェクトとALISEプロジェクトで新しいLiDARシステムを開発した。ドイツ航空宇宙センタ(DLR)から助成を受けている。画期的なレーザ設計により、システムのサイズは洗濯機程度、実質的にメンテナンスフリーである。小型化に加えて、そのエネルギー消費も100倍低下し,今では800W以下である。

新システムの中核は、フラウンホッファILTが開発したダイオード励起アレキサンドライトレーザ。システムは、繰り返し500 Hzで最大1.7 mJのパルスを発し、高い空間、時間分解能を示している。パルス間安定性0.2%、高いビーム品質(1.1を上回るM2)であるので、可能な標的高度で正確な計測をする。LiDAR応用で、もう一つの特に重要な特徴は、4 MHz以下の狭線幅である。これは、レーザがパルス単一周波数動作で放出する。

LiDARプロジェクト内で、エアバスの専門家は、レーザが宇宙応用に適していると評価した。システム全体は、ラボレベルでのテストに成功し、技術成熟度(TRL) 4に分類された。レーザのコンポーネントは、フラウンホッファILTで開発された宇宙におけるレーザアプリケーションのためのFULASプラットフォームに適合しており、TRL 6さえ満たしている。これは、現実的な運用条件での評価に相当する。

LiDARネットワークに3Dプリンティングを持ち込む
新しいアレキサンドライトレーザの最初の2世代は、ラボ設定だった。これは、すでに大気からの計測結果を出している。第3世代は、さらにコンパクトで、現場計測用可搬型システム組み込みに適合している。

レーザ以外では、新しい特許申請中の技術を使って光コンポーネントを固定した。オブティクスは、特殊プラスチックホルダに留められた。次に、これらは全モジュールの一部になり、特にコスト効果よく3Dプリンタで製造されている。モジュールは、計測器キャリアに組み込まれ、キャリアも大体3Dプリンティングで製造可能である。

研究チームは、2019年10月に最初のコンパクトLiDARシステムを設定した。2020年末には、さらに3モデルが完成する。

IAPで開発された、鉄原子(386 nm)に基づいた温度計測方法が、北極の夏温度の精密確定のために初めて使用された。レーザ波長はさらに広い範囲(720-810 nm)でチューニングできるので、多くの他の重要計測波長が、今後達成可能である。

現在、そのコンパクトLiDARシステムは、大気中の計測に770 nmでカリウムラインを使用する。このシステムで、極地域で計測キャンペーンが計画されている。