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DrexelのMXene材料、フォトディテクタに利用可能

November, 20, 2019, Philadelphia--ドレクセル大(Drexel University)の研究チームは、2D材料MXeneを使って、感度を高め、製造コストを大幅に削減するセンサを作る新しい方法を報告している。
 研究成果は、Advanced Materialsに発表された。研究論文は、金をMXene材料の半透明薄型層で置き換えると、フォトディテクタの製造工程がどのようよ拡大し、現状の標準(金)よりも優れたセンサが量産できることを示している。

同大学工学部研究准教授、PhD Pouya Dianat氏は、「フォトディテクタの世界的需要は、2024年までに20億ドルに拡大する見込である。プロセスの拡大は緊要であり、コンポーネントとして使う、より持続性のある材料を見つける必要がある」と話している。

フォトディテクタは、一般に、ディテクタ材料と他の回路とを接続する接触材料に伝導性の優れた金を使う。
 MXeneは2D薄層材料であり、スプレイ・ペイントから、クレイ、インクまで様々な形態で適用されても、高い伝導性を維持する。したがって、透明膜形態で、フォトディテクタの電極として使う魅力的な候補として登場してきた。

「フォトディテクタ製造の最大課題の1つは、金コンタクトの蒸着である。金そのもののコストに加えて、その製造プロセスは、高温、真空チャンバで行われなければならない。これは極めて高コストである」と研究の主筆、Kiana Montazeri氏はコメントしている。「われわれは、金をMXeneで置き換える。これは、比較的コストがかからない材料であり、テーブルトップスピナを使って環境条件でそれを蒸着することでフォトディテクタコンポーネントを製造できる」。

この薄膜蒸着工程は、遠心分離機にインクの斑点を設置し、結果としてのスプラッタを壁から剥がすように実施する。パタン化された基板で、通常の環境条件で実行できる比較的簡素な工程であるので、MXeneフォトディテクタの量産移行は容易である。

フォトディテクタの感度は、感光材料の表面積に関連している。より大きなセンサの方が望ましいが、そのサイズは、動作電力の増加を必要とし、反応が遅くなる。MXeneは伝導性があるのでMXene膜は、センサの多数のコンポーネントで利用可能であり、デバイスのほぼ全表面をセンシング領域に変え、エネルギー効率や性能を落とすことはない。

「最近、MXeneへの関心が、多くの理由から爆発的である。その中心は、それを水と混ぜてスプレイやインクにできることである。それでも、伝導性が全く失われない。透明MXene膜をフォトディテクタのコンタクトに使用することで明確な利点が得られる。つまり、それがキャリア移送距離と応答速度のトレードオフを緩和するからである」とデクセル工学部教授、Bahram Nabet氏は説明している。

論文で研究者たちは、作製したMXene膜フォトディテクタが、金製の現行デバイスの4倍の感度を示すと報告している。言い換えると、データセンタのエネルギー効率を大幅に高めるためにそれらが使えると言うことである。

「この研究の次のステップは、製造プロセスの標準化を継続し、様々な環境や条件でMXeneコンポーネントを安定的に利用する方法を開発することである。この発見は、広範なオプトエレクトロニックデバイスでMXeneを利用することに扉を開く。例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、またマイクロエレクトロニクス、フォトニック集積回路(PIC)やシリコンフォトニクス(SiPh)などの技術を可能にする用途である」と工学部、Michel Barsoum氏はコメントしている。