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Science/Research 詳細

Pennエンジニア、ナノ構造ダイヤモンドメタレンズ

November, 15, 2019, State College--化学レベルでは、ダイヤモンドは、精密整列、3D結晶格子のダイヤモンド原子に過ぎない。しかし、欠陥がないように見えるダイヤモンドにも欠陥は存在する。炭素原子が欠けた、あるいは何か他の物と置き換えられた、その格子点である。これらの欠陥の中には、非常に望ましい物もある。それらは、光を吸収、あるいは放出する個別電子をトラップし、ダイヤモンド宝石に見られるさまざまな色の原因となる。もっと重要な点は、先進的コンピューティング、安全な通信、精密センシングのための多様な量子技術のプラットフォームとなる。
 量子技術は、“qubits.”として知られる量子情報単位に基づいている。qubitsとなるのは電子のスピンが最有力候補である。データが0sあるいは1sのみの形をとるバイナリコンピューティングシステムとは違い、電子スピンは0、1あるいは量子重ね合わせでは両方で同時に情報を表すことができる。ダイヤモンドのqubitsは、量子科学者にとっては特に興味深い重ね合わせを含むその量子力学が、室温で存在するからである。この点は、多くの他の潜在的な量子リソースと違う。
 結晶内深部の単一原子から情報を収集する実際的な課題は、威圧的である。ペン大学のエンジニアは、最近の研究でこの問題に対処し、ダイヤモンド表面をパタン化する方法を考案した。これは、欠陥内部からの集光を容易にするものである。メタレンズと言われる、この表面構造にはナノスケールの特徴があり、事実上フラットであるにも関わらず、欠陥から放射される光を曲げ、集光する。
 研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
 量子系の潜在力を用いる決め手は、電子スピンを高信頼に操作し計測できる構造を作るか、見つけられるかである。量子状態の脆弱性を考えると、これは困難な仕事である。
 Lee BassettのLabは、この課題に多くの方向からアプローチする。最近、同研究室は六方晶系窒化ホウ素という2D材料をベースにした量子プラットフォームを開発した。寸法は極端に薄いが、その材料により電子スピンへのアクセスは容易になる。現在の研究では、チームは自然欠陥を含む3D材料に戻った。ダイヤモンドである。これは、電子スピンの制御で大きな可能性を持つ。
 ダイヤモンドの小さな欠陥は、窒素欠陥(NV)中心と言い、電子スピンを内部に持つことで知られている。これは室温で操作できる。絶対零度に近い温度を必要とする多くの他の量子系とは異なる。各NV中心は、そのスピンの量子状態についての情報を提供する光を放出する。
 Bassettは、量子技術で2Dおよび3Dアベニューの考慮が重要な理由を説明している。
 「さまざまな材料プラットフェームは、開発レベルが違い、また究極的にはそれらは多様なアプリケーションに有用である。2D材料における欠陥は、表面の近接センシングに最適である、また最終的には、集積量子フォトニックデバイスなど、他のアプリケーションにも役立つ。しかし当面、ダイヤモンドNVセンターは、室温量子情報処理でベストなプラットフォームであるに過ぎない。また、それは大規模な量子通信ネットワーク構築の主要な候補でもある」とBassettは話している。
 これまで、ダイヤモンドのバルク3D結晶内俯角に内蔵されたNVセンターを使うことで、要求の厳しいこれらのアプリケーションのために必要な、望ましい量子特性の組合せを達成できただけだった。
 残念ながら、その深く内蔵されたNVセンターは、ダイヤモンドの表面に存在しないので、アクセスが難しい。到達が難しい欠陥からの光を集めるには通常、高度に制御されたラボ環境の大きな光学顕微鏡が必要になる。研究チームは、NVセンターからの光を集めるもっと良い方法を見つけたかった。目標は、大きく高価な顕微鏡の必要性を回避する特殊なメタレンズを設計することで達成できた。
 「われわれは、ダイヤモンド表面の構造の設計と作製にメタサーフェスという概念を利用した。それは、レンズのように作用して、ダイヤモンドのシングルqubitからのフォトンを集め、それを光ファイバに向かわせる。それに対して、以前は、大きなフリースペースの光学顕微鏡が必要だった」同氏は言う。「これは、部屋一杯のエレクトロニクスやフリースペースの光コンポーネントを必要としない、コンパクトな量子デバイスを実現するわれわれの研究の重要な第一歩である」とBassettは説明している。
 メタサーフェスは、マクロスケールでは不可能な物理現象を達成できる複雑なナノスケールパタンで構成されている。研究チームのメタレンズは、それぞれが高さ1µm、直径100-250nmのピラーで構成され、従来の曲面レンズ同様、光を集光するように配列されている。ダイヤモンド表面にエッチングし、NVセンター内部の一つとともに配置されたメタレンズは、電子のスピン状態を表す光を直接光ファイバに誘導し、データ収集プロセスを簡素化する。
 「実際のメタレンズは、髪の毛程度、直径約30µmである。その上にわれわれが作製した1個のダイヤモンドを見ても、それは見えない。せいぜい、暗いスペクルが見えるだけだ」とHuang。「われわれは一般に、レンズを集光、コリメーティングを考えているが、メタ構造では、欲しいどんなプロファイルでも自由に設計する。われわれは自由にエミッションパタンを、NVセンターのような、量子エミッタのプロファイルを調整できる。フリースペースオプティクスでは、これは不可能、あるいは非常に難しい」。
 メタレンズを始めるには、Bassett, Huang, Groteは、さまざまな知識を持つチームを形成する必要があった。量子力学から電気工学、ナノテクノロジーまで。Bassettは、物理的にメタレンズを構築する能力で重要な役割をはたす。ナノテクノロジーは、Singh Centerの功績であると認めいている。
 「ナノファブリケーションは、このプロジェクトの重要構成部分であった。光波長よりも小さな長さスケールでダイヤモンドナノピラーアレイを作るには、われわれは、光分解のリソグラフィと正確なエッチングを達成する必要があったダイヤモンドは加工が難しい材料である。この性能を可能にしたのはRichardのSingh Centerにおける専門技術である。また、幸運にも経験豊富なクリーンルームスタッフから恩恵を受けた。Geraldは、 電子ビームリソグラフィ技術開発に貢献した。
(詳細は、https://miro.medium.com)