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人工皮膚、リハビリテーションに役立ちVRを増強する

November, 14, 2019, Lasanne--EPFLの研究者は、触覚フィードバックをもつソフトな人工皮膚を開発した。これは、高度な自己センシングメカニズムにより、装着者の動きに即時適応する能力も持つ。その新技術のアプリケーションは、医療リハビリテーションから拡張現実(AR)まである。
 われわれの聴覚や視覚と同様に触覚は、われわれが周辺世界を知覚し、相互作用方法で重要な役割を持つ。また、われわれの触覚、つまり触覚フィードバックとして知られる感覚を複製できる技術は、医療リハビリテーションや拡張現実(AR)などのアプリケーションで、人とコンピュータ、人とロボットのインタフェースを強化する。
 EPFLの再構成可能ロボットLab(RRL)とソフト生体電子インタフェース研究所(LSBI)の研究チームは、シリコーンと電極で作られたソフトで柔軟な人工皮膚を開発した。両研究所は、NCCR Roboticsプログラムの一環である。 
 ソフトセンサの皮膚のシステムとアクチュエータは、装着者の手首の正確な形状に人工皮膚を適合させる。例えば、圧力や振動の形態で触覚フィードックをもたらす。歪センサは、皮膚の変形を継続的に計測する。触覚フィードックがリアルタイム調整され、可能な限り現実的な触覚が生まれるようにするためである。研究成果は、Soft Roboticsに発表された。
 「センサとアクチュエータの両方を組み込んだ非常に柔らかな人工皮膚を開発したのはこれが初めてである」と研究の筆頭著者、Harshal Sonarはコメントしている。「これによりわれわれはクローズドループ制御ができる。つまり、ユーザが感じる振動刺激を正確かつ確実に調整することができる。これは、医療アプリケーションで患者の固有受容感覚のテストなど、ウエアラブルアプリケーションに最適である」。

シリコーン層で挟まれた触覚
 その人工皮膚は、膜層を形成し、空気を送り込むことで膨らむ、ソフトな空気式アクチュエータを含む。アクチュエータは、圧力や周波数(100Hzまで)の変化に同調可能である。膜層が素早く膨らみ、しぼむと人工皮膚は振動する。センサ層が膜層の上にあり、液体-固体ガリウム混合物でできたソフトな電極を含む。これらの電極が、連続的に皮膚の変形を計測し、そのデータをマイクロコントローラに送る。マイクロコントローラは、このフィードックを使って装着者に送られる感覚を微調整する。感覚は、装着者の動きや外的要因の変化に応じたものである。
 人工皮膚は、最大100万サイクルで、元の長さの4倍まで伸ばすことが可能である。つまり、それは多くの実世界アプリケーションにとって特に魅力的である。現在、研究チームは、それをユーザの指でテストし、さらにその技術の改善に取り組んでいる。
 「次のステップは、リハビリテーション、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)アプリケーション向けに完全ウエアラブルプロトタイプを開発することである」とSonarは話している。さらに同氏は、「プロトタイプは、神経科学研究でもテストされる。そこでは、人体の刺激に利用可能である。同時に、研究者は磁気共鳴実験で、動的脳活動の研究を行う」と付け加えている。