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ナノメカニカルルータがスケーラブル量子ネットワークへの道を開く

June, 20, 2019, Copenhagen--コペンハーゲン大学の研究チームは、量子情報を運ぶ光粒子を放出するナノコンポーネントを開発した。幅が人毛の1/10以下の微小コンポーネントは、究極的に量子コンピュータや量子インターネットに必要とされる能力に拡張し、到達することが可能である。
 世界中のチームが、量子技術の開発に取り組んでいる。コペンハーゲン大学ニールスボア研究所ハイブリッド量子ネットワークス(Hy-Q)センタの研究チームの焦点は、ナノフォトニック回路として知られる光回路に基づいた量子通信技術の開発である。UCPH研究者は、大きな進歩を達成した。
 過去5年、このブレイクスルーに向けて取り組んできた准教授、Leonardo Midoloは、「コンポーネントは非常に小さいが、成果は大きい」と言う。
 研究チームは、ナノメカニカルルータというコンポーネントを開発した。これは、光粒子が運ぶ量子情報を放出し、それをフォトニックチップ内でさまざまな方向にルーティングする。フォトニックチップは、コンピュータのマイクロチップのようなものであるが、電子の代わりに光を使う。そのコンポーネントは、ナノ-オプト力学と量子フォトニクスを融合している。これまで統合されたことのない2つの研究分野である。最も素晴らしいものはコンポーネントのサイズである。人の髪の毛の1/10しかない。この極微サイズが、それが未来のアプリケーションにとって有望にするのである。
 「ナノメカニクスと量子フォトニクスの世界の統合は、量子技術を拡大するための一つの方法である。量子物理ではシステムの拡大は課題になっていた。これまで、個々のフォトンしか放出できなかった。しかし、量子物理学で、さらに先進的なことをするには、システムを拡張しなければならない。つまり、この発明が可能にするものである。量子コンピュータや量子インターネットの構築には、一度に1個のフォトンだけが必要というのではなく、相互に接続できる多くのフォトンが同時に必要である」とLeonardo Midoloは説明している。

「量子超越性」の達成が現実的
 例えば、量子コンピュータ、量子インターネットを構築するために量子力学の法則生かすには、多くのナノメカニカルルータが同じチップに集積されなければならない。「量子超越性」として知られるものを実現できるだけのパワーを得るには、約50のフォトンが必要である。Midoloによると、新しいナノメカニカルルータは、そうすることを現実的な目標にしている。
 「われわれの計算では、われわれのナノメカニカルルータは最大10フォトンまで拡大できる。また、さらなる強化により、「量子超越性」実現に必要な50のフォトンを達成することができる」。
 この発明は、チップ内で光を制御する上で大きな飛躍である。既存技術が可能にするのは、シングルチップにわずか数個のルータである。それは、ルータの設置面積が大きいからである。それに対して、ナノメカニカルルータは、同じ1個のチップに数千を集積できるほど小さい。
 「われわれのコンポーネントは極めて効率的である。同時に多くのフォトンを放出でき、その一つとして失うことはない。現在、他の技術で、これを可能にするものは存在しない」とLeonardo Midoloは話している。