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THzを使って初のワイヤレスビデオ送信をデモ

June, 11, 2019, Freiburg--Fraunhofer Heinrich Hertz Institute HHIは、テラヘルツ(THz)技術に基づいた次世代ワイヤレス伝送システム(5G超)を開発した。
 このTHz技術は、現在の4Gおよび5Gモバイルワイヤレス技術よりも大幅に高いデータ伝送レートをサポートする。フォトニックネットワークとシステムの研究チームは、フラウンホーファー応用固体物理学研究所IAFと協力して、ワイヤレスTHzリンクで4Kビデオのリアルタイム伝送に成功した。この技術がリアルタイム実験で成功したのはこれが初めてであった。ワイヤレス伝送容量100Gb/sがTHzリンクで実証された。
 通信ネットワークで伝送容量に課せられた要求は継続的に強まっている、これは新しいアプリケーション、Industry 4.0、自律走行車、AIベースクラウド/エッジコンピューティング、eHealth、スマートシティやVR/ARに後押しされている。今日すでに、次世代モバイルワイヤレス技術(5G)やその基盤にある光ネットワークが、いつまでも要求をカバーできないことは歴然としている。ボトルネックは不可避であり、特に農村地域では、光ファイバネットワークの敷設コストは、都市部よりも著しく高価である。フラウンホーファーHHIは、したがって、テラヘルツ技術を可能なソリューションとして精力的に研究を行っている。この技術は、高搬送波周波数でのワイヤレスデータ伝送をベースにしており、伝送容量、数100Gb/sをサポートする。すなわち、既存ワイヤレス技術レベルの5~10倍に伝送容量が増加する。THz伝送は、4G LTE/5Gモバイルワイヤレス周波数よりもかなり上の周波数を使う。したがって、既存技術への実装に理想的である。
 HHI研究チームは、高データレートでTHzデータ伝送リアルタイム動作に初めて成功することができた。4Kビデオは、ワイヤレスTHzリンクにより2台のコンピュータ間でリアルタイム伝送され、100Gb/sデータレートを長時間にわたり達成した。フラウンホーファーHHIフォトニックネットワークとシステム部、テラヘルツ研究部長、Dr.-Ing. Robert Elschnerは、「われわれはシステムの連続安定動作、70時間超を達成することができた」と語っている。伝送システム心臓部のコンポーネントは、フラウンホーファーIAFの高速、III-V半導体ベース集積回路とHHIの高性能テラヘルツモデム。伝送は、60㎝の距離で300 GHzキャリア周波数を使用した。HHI「サブマリンとコアシステム」研究グループ長、Dr. rer. nat. Colja Schubertは、伝送レートと距離は、さらに延びると考えている。「当然、短距離では、400Gb/s以上の伝送レート実現はできる。最適アンテナを使えば、伝送スパンは、最大1kmは可能だ」とコメントしている。
 THz技術に考えられるアプリケーション・シナリオには、農村地域のユーザー向け高ビットレート接続、アドホックネットワーク、光ファイバネットワークのワイヤレス拡張、デバイス間通信、今後のモバイルワイヤレスネットワークにおける固定/モバイルワイヤレスアクセス。公的資金を受けたEUプロジェクトTERRANOVAの国際パートナーと協働するインターナル研究プロジェクトにより研究は、フラウンホーファーのTHz技術を受注準備完了にしようとしている。
(詳細は、https://www.iaf.fraunhofer.de)