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光学応用にマイクロリングセンサ

June, 5, 2019, Houghton--ミシガン工科大学の研究チームによると、マイクロリングセンサの設計を改善することで、複雑さを導入することなく、その感度を増強することができる。
 光センシングは、光科学の最も重要なアプリケーションの1つである。天文学、環境科学、産業、医療診断で重要な役割を果たしている。
 光センシングで用いられる様々な方式にもかかわらず、その全ては同じ原理を共有している。計測される量が、システムの光応答についての「フィンガープリント」を残さなければならない。フィンガープリントは、その伝達、反射、吸収である。これらの効果が強ければ強いほど、システムの応答はますます強くなる。

これがマクロレベルではうまく機能するが、弱い反応を誘導する微小量は、困難な作業である。研究者たちは、この難しさを克服し、デバイスの感度を高める技術を開発した。これらの技術は、複雑な量子光学コンセプトと導入に頼っており、その中には、LIGOプロジェクトで重力波計測など、役に立つものもある。他のものは、光共振器に光をトラップすることに基づいており、これらは微小粒子や比較的大きな生物学的な成分の検出に成功している。

とは言え、微小なナノ粒子や究極的には単一分子の検出能力は、まだ困難である。現状の試みは、特殊な、マイクロリング、つまりマイクロトロイド共振器と呼ばれる光トラッピングデバイスに焦点を当てている。これらは、光と検出されるべき分子との相互作用を強める。しかし、これらのデバイスの感度は、その基礎物理学の制約を受ける。

Physical Review Lettersに発表された論文「感度と堅牢さを統合するために特別な表面でセンシング」で、ミシガン工科大学、ペンシルバニア州立大学、セントラルフロリダ大学の研究チームは、新しいタイプのセンサを提案している。それらは、特別な表面: 除外点で構成される表面という新概念に基づいている。

除外点の意味を理解するためには、2つの弦しかない架空のバイオリンを考える。一般に、そのようなバイオリンは、2つの異なる音を作ることができる。従来の光学共振器に相当する状況である。もし1つの弦の振動が、その音と弾性振動が一つの音と一つの弦の動きだけを作るように、他の弦の振動を変えることができるなら、そのシステムは除外点を持つ。

除外点を示す物理系は非常に脆弱である。言い換えると、どんな小さな摂動でも、その挙動を劇的に変える。その特徴のために、システム微小信号の影響を非常に受けやすい。

「有望であるにも関わらず、除外点ベースセンサの同じ増強感度は、そのアキレス腱でもある。これらのデバイスは、不可避的な製造誤差や望まない環境変動に極めて敏感である」と物理学の准教授、Ramy El-Gananyは指摘する。さらに、同氏によると、その感度は、以前の実験的デモンストレーションでは巧みな調整技を必要としていた。

「われわれの現在のプロトタイプは、新システムを導入することで、これらの問題のほとんどを軽減している。その新システムは、以前の研究で報告された同じ感度強化であるが、同時に、考えられないような実験的不確実性の大半に対してロバストでもある」と論文の筆頭著者、Qi Zhongは説明している。
 マイクロリングセンサの設計は引き続き改善されて行くが、研究チームは、デバイスを改良することで、見たところ微小な光学観測が大きな効果を持つことを望んでいる。