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「光回路」機能の逆設計メタマテリアル

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May, 27, 2019, Philadelphia--ペンシルバニア大学(University of Pennsilvania)工学教授、Nader Enghetaのチームは、アナログコンピュータとして機能するメタマテリアルを実証し、「フォトニック計算」についての初期理論の正当性を立証した。
 メタマテリアル分野は、複雑な複合的構造の設計をともない、中には自然に生成する材料では不可能な方法で電磁波を操作できるものがある。
 工学・応用科学学部、Nader Enghetaには、この分野の非常に高い目標の一つは、方程式を解けるメタマテリアルの設計だった。この「フォトニック算法」は、パラメータを入力電磁波の特性にエンコードし、それをメタマテリアルデバイスに通すことで機能する。一度中に入ると、その任意の入力に、事前設定された微分方程式に解が符号化されて出力されるように、デバイス固有の構造が波を操作する。
 Scienceに発表された論文で、Enghetaのチームが初めてそのようなデバイスを実証した。
 その概念実証実験はマイクロ波で行われた。長い波長によりマクロスケールのデバイス構築が容易になるからである。しかし、その成果の背後にある原理は、光波長にスケールダウンでき、最終的にはマイクロチップに収まる。
 そのようなメタマテリアルデバイスは、電気ではなく光で動作するアナログコンピュータとして機能する。そのようなコンピュータは、デジタルコンピュータよりも何桁も高速に、しかも一段と低消費電力で、あらゆる科学や工学の分野の至る所に存在する、微分方程式を解くことができる。
 Enghetaは、研究室のメンバー、Nasim Mohammadi EstakhriやBrian Edwardsとともに研究を進めた。
 このアプローチは、アナログコンピュータに起源がある。最初のアナログコンピュータは、計算尺や歯車の組合せなど、物理的なエレメントを使って精密に操作し数学の問題を解いた。20世紀の中頃、電子的アナログコンピュータが機械的計算機に取って代わった。一連の抵抗、コンデンサ、誘導子、増幅器が先行の時計仕掛けを置き換えた。
 そのようなコンピュータは、膨大な情報テーブルを一度に解くことができるので、最先端であるが、予め取扱いが設計された類いの問題に限定されていた1945年Pennで構築されたENIACで始まった、。再構成可能、プログラム可能なデジタルコンピュータにより、それらは旧くなった。
 メタマテリアルの分野の発展にともない、研究チームはアナログコンピュータの背後にあるコンセプトを21世紀に持ち込む方法を考案した。2014年、Scienceで「フォトニック計算法」の理論的説明が発表され、注意深く設計されたメタマテリアルが、それを通過する波のプロファイルで、一次あるいは二次導関数のような、数学的操作がどのように行われるかを示した。
 そこで、研究チームは、この理論を評価し、それを拡張して方程式を解くようにする物理的な実験を行った。
 「われわれのデバイスは、空気穴の極めて特殊な分布を持つ誘電体材料ブロックを含む。われわれは、それを”スイスチーズ”と呼ぶ」とEnghetaは言う。
 そのスイスチーズ材料は、一種のポリスチレン・プラスチックである。その込み入った形状は、CNCフライス盤で形作る。
 「電磁波とこのスイスチーズメタマテリアルとの相互作用をコントロールすることが方程式を解くカギになる。そのシステムが適切に組み立てられると、そのシステムから得られるものは積分方程式の解となる」とEstakhriは言う。
 さらに同氏は、「この構造は、逆設計、として知られる計算過程で計算され、それを使って人が考え付かないような形状を見つけ出す」と説明している。
 スイスチーズの中空域パターンは、変数の関係を記述する方程式の一部である、所定の「カーネル」で積分方程式を解くように予め規定されている。そのような積分方程式のこの一般的なクラスは、「第二種フレドホルム積分方程式」として知られており、さまざまな科学分野で、多様な物理現象を記述する共通の方法である。この予め設定された方程式は、任意の入力に対して解を出せる。つまり、デバイスに導入される波の位相や大きさによって表されるものである。
 「例えば、コンサートホールの音響を計画しようとしているなら、その入力が、スピーカーや楽器の位置など、音源を表す積分方程式を書くことができる。また、どの程度音が大きいかも同様である。方程式の他の部分は、部屋の形状、作られている壁の材料を表す。その方程式を解くことで、コンサートホールのさまざまな点のボリュームが分かる」とEnghetaは説明している。
 音源、部屋の形状、特定位置のボリュームの関係を記述する積分方程式では、部屋の特徴、つまり形状やその壁の材料の特性などは、方程式のカーネルで表すことができる。これは、そのメタマテリアルスイスチーズにおける空気孔の精密アレンジにより、Penn Engineeringの研究者が物理的な方法で表すことができる部分である。
 「われわれのシステムでは、そのシステムに送り込む波の特性を変えることで、音源の位置を表す入力を変えることができるが、例えば、部屋の形状を変えたいなら、新しいカーネルを作らなければならない」とEnghetaは言う。
 研究チームは、マイクロ波で実験を行った。したがって、デバイスは、約2平方フィート、幅約8波長、長さ4波長。
 「この概念実証段階でさえ、われわれのデバイスはエレクトロニクスに比べると著しく高速である。マイクロ波では、われわれの分析では、ナノ秒の数百分の1で解が得られる。オプティクスにすると、それはピコ秒になる」とEnghetaは言う。
 光波で動作するようにそのコンセプトをスケールダウンし、マイクロチップに落とすと、実用的なコンピューティングになるだけでなく、他の技術にも道を開くことになる。数10年前に、最初にアナログコンピュータを時代遅れにした多目的デジタルコンピュータのようになり得る。
 「われわれは、書き換え可能なCDの背後でその技術を使い、必要なら新しいスイスチーズパターンを作ることができる。いずれ、家庭で、独自の再構成可能なアナログコンピュータをプリントできるようになる」とEhghetaは話している。
(詳細は、https://penntoday.upenn.edu)