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インスブルック大学、省エネの新しいLED蛍光体を開発

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May, 9, 2019, Insbruck--人間の眼は特に緑に敏感であるが、青と赤にはそれほどではない。Hubert Huppertzをリーダーとするインスブルック大学(University of Innsbruck)の化学者は、眼がよく知覚する光の新しい赤色蛍光体を開発した。これは、LEDの光収率を1/6程度強めるので、照明システムのエネルギー効率が大幅に改善できる。
 LEDは、ある色を発光できるだけであるが、白色光は、異なる色の混合プロセスを用いて作られる。「白色LEDでは、赤とイエロー・グリーン蛍光体を青色ダイオードの光で励起する。その粒子が赤と緑域で発光し、青色の光との組合せで、白色光を生成する」とインスブルック大学理論化学学部、Hubert Huppertzは説明している。同氏のチームは、赤と緑の蛍光体改善に取り組んでいる。OSRAM Opto Semiconductorsと協力して研究チームは、新しい赤色蛍光体の合成に成功した。これは、優れた発光特性を持ち、LED照明のエネルギー効率を大幅に改善できる。
 研究チームがSALONと名付けた強力な赤色蛍光体Sr[Li2Al2O2N2]:Eu2+,は、蛍光体の光特性の全ての要件を満たしている。開発は、バイロイト大学(University of Bayreuth)時代のHubert Huppertzによる研究に遡る。同氏の博士課程の一環として、同氏は、蛍光体ユウロピウム添加ナイトライドを開発した。これは、ミュンヒェンのグループによってさらに最適化され、現在では広く使用されている。この赤色蛍光体が、LEDがコールドホワイトを発光するだけでなく、ウォームホワイトも発光することに部分的に関与している。興味深いことに、人の眼は緑色に最も敏感に反応する。青と赤の領域では、眼の感度は落ちる。これらの蛍光体は可視域の赤い光を発するが、エネルギーの大部分は、人の眼が知覚しない赤外域に入る。インスブルックで開発された蛍光材料では、発光を赤から青にわずかにシフトすることに成功した。
 「非常に不均一なサンプルでは最初はわずか数個の粒子が利用できるだけなので、合成体を最適化するのは難しかった」と博士課程学生、Gregor Hoerderは言う。研究者が、最も有望視する合成生成物の一つから単結晶を分離できたときにブレイクスルーが起きた。こうして新しい材料の構造が決まった。「材料は、赤よりもオレンジを発光するように合成された。SALONでは、エネルギー損失は少なく、見られるように正にレッド・オレンジで発光する」と同氏は話している。
(詳細は、https://www.uibk.ac.at)