コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

CEA-Leti、ポータブル機器向け次世代Mid-IR光学センサプロトタイプ

February, 19, 2019, San Francisco--CEA-Letiは、スマートフォンや他のポータブル機器に組込可能な中赤外シリコンフォトニクスを用いた次世代光化学センサのプロトタイプ試作を発表した。
 コインサイズ、オンチップセンサは、高性能と低消費電力を統合したものでPhotonics West2019で論文”Miniaturization of Mid-IR Sensors on Si: Challenges and Perspectives”発表された。
 中赤外(Mid-IR)化学センサは、2.5µm~12µmのスペクトル範囲で動作し、画期的なシリコンフォトニックデバイスのパラダイムと考えられる。10年経たないうちに、化学センサはこのようなデバイスの重要アプリケーションになった。セキュリティおよび産業応用とともに、分光学、材料加工、化学および生体分子センシングの潜在性が大きくなっているからである。このスペクトル範囲の計測は、化学物質の非常に高い選択性、感度、明確な同定を提供する。
 Letiが試作したコインサイズ、オンチップ、IoT対応センサは、高性能と低消費電力を統合しており、家庭や車輌の空気品質モニタリング、ウエアラブル健康アプリケーションなど、コンシューマの利用を可能にする。産業利用には、リアルタイム空気品質モニタリング、広範囲のワーカーの安全性アプリケーションが含まれる。
 現在市販のMid-IR光センサは一般に大きくて靴箱サイズ以上であり、コストは1万ユーロを超える。一方、現在の微小サイズで安価なセンサは、精度、選択性、感度でコンシューマの要求を満たすことはできない。産業アプリケーションではサイズと価格が最も重要な関心事であるが、大きくて高価な光センサは、コンシューマアプリケーションでも大きな障害となっている。消費者用途は、ウエアラブルであり、ポータブル機器組込が求められるからである。
 「Mid-IRシリコンフォトニクスにより、新たな種類の集積コンポーネントが実現した。これにより化学センシングに必要なチップレベルで主要構成要素組込が可能になった。この開発における重要ステップは、シングルソースで利用可能な波長範囲を拡大である。これにより、光集積回路を使うビームの取扱とルーティングが可能になり、完全集積オンチップセンシング対応の新検出方式が研究された」と論文の筆頭著者、Sergio Nicolettiは説明している。

CEA-Letiのブレイクスルーは、オンチップ光化学センサ作製に必要な3つの既存技術を統合している。
・Mid-IRレーザをシリコンに集積
・Mid-IR波長範囲のPICs開発
・シリコンチップ上に光音響検出器を微小化

(詳細は、http://www.leti-cea.com/)