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宇宙から森林のダイナミクスモニタNIRレーザシステム最終試験に合格

October, 17, 2018, Washington--宇宙から森林のダイナミクスをモニタリングする近赤外レーザシステムが最終試験をパスした。
 地球生態系ダイナミクス研究ミッション向けの計測器は、国際宇宙ステーション(ISS)への飛行で熱と振動に耐えなければならない。
 全システムが11月、NASAの地球生態系ダイナミクス研究(GEDI)ミッションに打ち上げられる。GEDIでは、高解像度レーザ測距を使い、地球の森林と地形を国際宇宙ステーションから調べる。
 その研究ミッションは、森林破壊が大気の二酸化炭素濃度にどの程度影響しているか、森林がどの程度の二酸化炭素を吸収するかという問題に答えようとしている。ミッションはメリーランド大学研究グループがリーダーとなり、GEDI用のレーザを設計している航空宇宙局(NASA)のチームと協働している。
 NASAのレーザエンジニア、Paul Stysleyは、「地球科学と惑星探査ミッション用にLIDARベースのリモートセンシングを可能にするレーザを設計したかった」と話している。
 研究チームは、「比較的シンプルで、パフォーマンス仕様に適切なマージンを持ち、十分に理解された」レーザシステムを設計した。
 LIDAR技術を使い、研究者は、地球表面にレーザエネルギーパルスを打ち込み、それが戻ってくるタイミングを正確に記録する。このデータは、垂直観察の形式、世界の森林カノピー(林冠)と地上のトポグラフィを示す全波形で3D画像を生成する。
 これが可能になるのは、発射したレーザ光パルスが地面、植生あるいは雲によって反射され、GEDIのレシーバで収集されるからである。戻ってくるフォトンは、ディテクタに集められる。ディテクタは,光の輝度を電圧に変換し、1ns間隔の時間関数として記録される。時間は、それに光の速度を乗ずることによって距離に変換でき、次に全波形が、距離の関数として、記録された電圧によって計算できる。
 そのレーザシステムにより全波形データを収集することができる。これにより地球レベルで、地面の標高と植生キャノピーの高さ計測ができる。「キャノピーと3D波形データは、NASAのLIDARミッション搭載のLand, Vegetation, and Ice Sensorによってすでに供給されているものに基づいている。GEDIレーザは、NASA-Goddardのレーザとエレクトロ-オプティクス部門が内部で設計、製造、組み立てた」とStysleyは説明している。
 「われわの設計は、後続の植生LIDARミッション、効率的なレーザ高度計を必要とする惑星ミッションに容易に適用可能である」。
 レーザシステムを設計すると、ロケットで宇宙に打ち上げられる時の超高温と振動でそれが存続できることをNASAグループは保証しなければならなかった。また、ISS外、日本の実験モジュール暴露ファシリティ( Japanese Experiment Module-Exposed Facility)にインストールされた時の過酷環境に耐えられることも保証しなければならなかった。
 グループは、レーザを宇宙飛行に近いシミュレーションのために熱真空テストを受けさせ、そのレーザがレーザの最終組立の振動認定試験とともに、宇宙で機能し存続できることを確認した。
 GEDIミッションは、11月に打ち上げが予定されている。最大2年、ISSで動作する。