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ファイバオプティックセンサ、脳や心臓の微小磁場を計測

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October, 12, 2018, London--非常に弱い磁場を計測する光ベースの技術が開発された。例えば、脳でニューロンが発火する時に発生する磁場。安価でコンパクトなセンサは、現在、脳の活動をマップするときに使用されているMRIシステムの代替となる。MRI装置が必要とする高価な冷却、電磁シールドは不要である。

アリゾナ大学の研究者、Babak Amirsolaimani氏は、「遮蔽されていない環境、室温動作するポータブル、ローコストの脳イメージングシステムは、リアルタイムで脳の活動をマッピングできる。スポーツフィールドや紛争地帯で脳震盪の可能性がある時の脳の活動をマッピングする。紛争地帯では爆発物の脳への影響が破滅的である」と語っている。
 Optics Lettersに発表された論文で研究チームは、光ファイバと磁場に感度がある、新開発のポリマナノ粒子成分を使って磁気センサを作製した。そのセンサは、地球の磁場よりも1億倍弱い脳の磁場を検出できる。
 研究チームは、新しいセンサが、人の心臓鼓動の弱い磁気パタンを検出できることも示した。また、100平方µm程度のエリアから、マイクロ秒ごとに変化する磁気変動を検出できることも示した。
 「センサのオールオプティカル設計とは、シリコンフォトニクスチップ上に安価に作製できると言うことであり、10µm径光ファイバ程度のサイズのセンサシステムを作製できる。さらに、多重センサをいっしょに使って、高い空間分解能で脳のマッピングができる」と同氏は説明している。

磁場の光検出
 弱い磁場を検出する光学的方法は、磁場が偏光回転しており、回転度は光が透過する材料に依存するという事実を利用している。研究チームは、ポリマに散乱させたナノ粒子でできた新しい複合材料を開発した。これは,非常に弱い磁場が存在するとき、光の検出可能な偏光回転を分ける。
 ナノ粒子は、マグネタイトとコバルトをベースにしている。これらの材料が非常に高い磁気感度を示すからである。次に,ナノ粒子のサイズ、間隔、コーティングを最適化して、非常に高い磁気感度を示す複合材料を作製した。
 研究チームは、光学干渉計を使って偏光回転を検出した。これは、レーザ光を2つのパスに分け、一方が高感度材料を透過し、他方は透過しない。各光パスの偏光が検出され、比較されて非常に小さな磁場の変動を計測する。
 弱い磁場の検出では、検出される信号をノイズが容易に覆う。このため、研究チームは干渉計設定を行い、振動や温度変動などの周囲環境の影響を除去した。この設定は、ノイズレベルを光学設計の理論限界に非常に近づけ、これが極めて弱い磁場の検出のカギになった。
 研究チームは、そのセンサを使って、人の心臓鼓動で生成される電気インパルスから生ずる磁場を計測した。高コントラストを示すはっきりした磁気信号を検出することができ、現在一般に心臓障害のテストに使用されている心電図記録法(ECG)のシンプルな置き換えとしてのその技術の潜在力を実証した。
 研究チームは、次に、同センサの長期安定性、環境変化への耐性を調べる計画である。数100のセンサを製造して、人の脳の全磁場を評価、イメージングするシステムを作製することを考えている。