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放電プラズマ焼結技術で世界初の航空宇宙用大口径遠赤外光学レンズの開発

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October, 9, 2018, 金沢--金沢工業大学が参画する研究開発グループは、世界初硫化亜鉛(ZnS)を使った航空宇宙分野用大口径遠赤外光学レンズの開発に着手した。
 航空宇宙分野では数キロ離れた遠方対象物を夜間でも鮮明に観測できる大口径遠赤外光学レンズが求められている。硫化亜鉛(ZnS)を使った遠赤外光学レンズは資源的な制約が無く、また過酷な環境に耐えられるため屋外での使用に適しているが、直径が100mmを超える大口径ZnSレンズは従来の技術では製造が困難で、世界でも実現された例がない。
 研究グループでは、中小企業庁 平成30年度予算「戦略的基盤技術高度化支援事業」の選定を受け、2021年までの3年間で、放電プラズマ焼結技術による製造技術の確立を目指す。また将来的には宇宙望遠鏡市場への進出も視野に入れている。
 この研究開発を進めるのは、新潟県が100%出資する公益財団法人にいがた産業創造機構と、放電プラズマ焼結法による技術開発を手がける株式会社シンターランド、長岡工業高等専門学校、金沢工業大学高信頼理工学研究センターの四者からなる産学官研究グループ。金沢工業大学からは工学部 機械工学科 斉藤博嗣准教授(複合材料工学)と工学部電気電子工学科 池永訓昭准教授(プラズマ工学・薄膜材料)が参画する。

研究の概要
 現在、直径40mm以下の小口径赤外光レンズは、成膜技術の一つである結晶合成用化学気相成長(CVD法)により作製したブロック材を、超精密切削等の機械加工により製造している。しかし、この方法を大口径レンズの製造に用いた場合、加工用の大型ブロック材形成や加工に7日間以上の日数が必要であること、厚いレンズを一度に複数製作することが不可能であること、レンズ加工による歩留まりを考慮すると製造工数や費用が膨大になるという問題がある。またCVD法で硫化亜鉛材料を製造する場合には、毒性の高い硫化水素ガスを大量に用いるため、作業の危険性や環境負荷の観点から、事実上、製造は不可能とされている。

 研究グループが新規に開発を目指す放電プラズマ焼結技術による成形は硫化亜鉛の原料粉末を放電プラズマで焼結しながらレンズそのものの形状(ニアネットシェイプレンズ)に成形するものである。切削加工自体が不要のため製作期間は2日間と、大幅に短縮できるとともに、歩留まりの向上や、厚いレンズも一度に作れる、有害な硫化水素ガスを使用しないなど、さまざまなメリットがある。
 直径100mm以上、高さ70mmの大型口径レンズの開発はこれまで成功例はない。
(詳細は、https://www.kanazawa-it.ac.jp)