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Science/Research 詳細

光の吸収力を改善する多層導波路テーパーアレイ

April, 10, 2014, Buffalo--バッファロー大学フォトニクス研究のブレイクスルーで、太陽電池の効率化、レーダーやステルス技術の改善、機器が生成する廃熱の再利用など、これら全てが可能になる。
この研究では、「多層導波路テーパーアレイ」というナノスケールマイクロチップコンポーネントの光を捉え、吸収する能力を利用している。導波路テーパー(指ぬき形状の構造)は、垂直的に様々な位置で多様な波長、つまり広帯域の光の速度を遅らせ、最終的に個々の波長の光を吸収する。論文は、「双曲線メタフィルムパタンのブロードバンド吸収エンジニアリング」。
「以前に、多層導波路テーパーならもっと効率的に光を吸収すると予測したが、今回この実験でそれを実証した」と電気工学助教授Qiaoqiang Gan, PhDは言う。「この前進は、薄膜太陽電池技術にとってすこぶる有益であることが実証できる。また、スマートフォンやラップトップのような電子機器や、産業の副産物である廃熱エネルギーのリサイクルにも有用である」。
個々の多層導波路テーパーは、金属、半導体、絶縁体の超薄層でできている。テーパーは、金属誘電体層ペア、いわゆる双曲線メタマテリアルで光を吸収する。層の厚さと他の幾何学的パラメータを調整することで、テーパーは、可視光、近赤外、中赤外、テラヘルツ、マイクロ波を含む様々な周波数にチューニングできる。
この構造は多くの分野に発展させることができる。例えば、オンチップ光通信という先進的なコンピューティング研究のような比較的新しい分野がある。この分野にはクロストークとして知られている現象がある。1つの導波路チャネルで伝送される光信号が望ましくない散乱となり、他のチャネルに結合する。この多層導波路テーパーアレイは、潜在的にこれを防ぐことができる。
薄膜太陽電池を改善することも可能だ。従来の太陽電池よりも安価になり、より柔軟になることから、これは将来性がある。しかし欠点は、従来ほど多くの光を吸収しないことだ。多層導波路テーパー構造アレイは効率よく可視光、赤外スペクトラムを吸収するので、薄膜太陽電池が生成するエネルギー量を増やすことができる。
そして、多層導波路テーパーアレイは、動力装置や他の産業工程、あるいはテレビやスマートフォン、ラップトップなどの電子機器が生み出す廃熱のリサイクルに役立つ。
また、ステルス材料にもなる。航空機、船舶、他の乗り物がレーダー、ソナー、赤外および他の検出形態を回避することができるからだ。