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フラウンホーファーHHI、THzでリアルタイム層厚計測

September, 19, 2018, Munich--テラヘルツは、非破壊材料検査の重要技術である。主な利点は、物理的接触なしの検査。また、確立された超音波のような方法ではできない、低コントラス範囲で複雑なシステムの分析が可能。フラウンホーファーHHIは、多層システムのリアルタイム厚さ計測をする,コスト効果が優れたコンパクトな計測システムを初めて開発した。これは、例えば、ラッカーライン向けでは重要技術である。新しいテラヘルツ計測システムT-Sweeperは、IMTS展示会で紹介された。
 テラヘルツ照射は、10年以上前から、空港のセキュリティスクリーニングで乗客の身体スキャナ検査関連で大きなトピックになっている。テラヘルツ照射は、材料検査やコンポーネントの検査向け計測システムでも使用された。しかし、期待にもかかわらず,テラヘルツ技術のブレイクスルーは,長くかかった。X線照射、超音波などの非破材料壊検査の古典的な方法と比べて、テラヘルツは、長い間、高価すぎると考えられていた。ところが近年、大きな前進が見られた。標準的なコンポーネントをベースにした設計で、ますます多くのシステムが発表されるようになり、システム構築が著しく経済的になっている。
 フラウンホーファーHHIにおける現在の開発、テラヘルツ技術は,テラヘルツ技術を大きく後押しすることになる。研究チームは、従来使用されているフェムト秒パルスレーザをコンパクトな連続波(CW)レーザ技術で置き換える計測デバイスを開発した。この連続波計測システムは、1秒に8計測が可能である。パルスレーザを使用することなく、初めてリアルタイム計測を可能にするものである。
 テラヘルツ照射を生成するためにHHIの採用した原理は、オプトエレクトロニックプロセスに基づいている。特殊な半導体コンポーネントを使用し、2つの連続波レーザのビートをテラヘルツ照射に変換する。これは、2つのレーザ差周波に正確に対応している。
 過去においてテラヘルツ技術の大きな成功がなかったことは、使用される半導体の特性が主因である。こうした特性は、当初、波長800nmでの照射を必要とする材料でのみ達成可能であった。このいささか珍しい波長は、テラヘルツシステムのレーザと光コンポーネント両方が非常に高価になり、産業アプリケーション向けでは十分な堅牢さが得られないことを意味する。
 テラヘルツ研究グループ長、Björn Globischは、「われわれが1.5µm波長でレーザ光による励起可能な半導体を開発した理由はここにある。これは、光通信技術の標準波長に一致する、つまりコスト効果が優れた、たくさんの高品質光コンポーネントやレーザが利用できる」と説明している。しかし、材料試験向けの競争力のある実用的なテラヘルツシステムになるには,克服すべきもう1つの障害がある。全ての従来のテラヘルツシステムはパルスレーザベースであり、これは既存システムにおける明白なコスト要因である。フェムト秒レーザは、技術的に複雑で、それ自体が高価であるだけでなく、パルスレーザを使うテラヘルツ分光計は、追加のオプトメカニカルコンポーネントを必要とする。これらのコンポーネントは、精密に製造し、極めて複雑な手順で調整しなければならない。
 代替は、連続波分光計である。ここでは、テラヘルツパルスの代わりに、連続波照射を生成する。2つの連続波レーザを混合し、そのビート信号を特殊な半導体デバイスで、テラヘルツ照射に変換する。生成されたテラヘルツ照射の波長は、、レーザ波長の関係を相互に変えることで簡単に変更できる。連続波システムは、パルステラヘルツシステムと比較して、2つの明白な利点がある。まず、レーザ光源自体が、コンパクトで安価である。次に、システムを動作させるためにオプトメカニカルコンポーネントを必要としない。
 連続波テラヘルツシステムは、すでに利用できるが、計測信号を得るために数秒~数分かかる。工業アプリケーションでは、製造サイクルが維持されなければならないので、計測点毎の時間は短い。これまで、CWテラヘルツし捨ての計測時間は、遅すぎて非破壊検査アプリケーションでは実用的ではなかった。
 フラウンホーファーHHIは、超高速に調整可能なレーザ(Finisar WaveSource)を使い、またエレクトロニクス、データキャプチャ、必要とされる高速性に対応するアルゴリズムに改良することで、この問題を解決した。この組合せにより、計測速度は,従来システム比で160倍高速になった。これにより、連続波テラヘルツシステムでリアルタイム材料試験が初めて可能になった。
(詳細は、www.fraunhofer.de)