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コンピュータイメージングで窓をレンズとして利用

August, 27, 2018, Salt Lake--将来的には、車のウインドウが道路の対象物をセンシングする巨大なカメラになる。あるいは、家庭の個々の窓が、セキュリティカメラになる。
 ユタ大学電気・コンピュータ工学の研究チームは、オプティクスのないカメラを作製する方法を発見した。ここでは、通常の窓ガラスあるいは透明な窓がレンズになる。
 研究成果は、Optics Expressに発表された。

 電気・コンピュータ工学助教、Rajesh Menonは、全てのカメラは人が画像を見て解釈するという考えで開発された、と主張する。しかし、アルゴリズムを走らせるコンピュータに解釈させるカメラを開発できるとしたらどうだろう。
「人ではなく、機械に最適化したカメラを最初から開発してみようではないか。それがわたの観点だ」と同氏は言う。
 モバイルカメラやSLRカメラのための通常のデジタルカメラセンサは、レンズなしで対象に向けられるなら、画像は画素化した斑点のように見える。しかし、その斑点内には、まだ十分なデジタル情報があり、それを見極められるようにコンピュータプログラムを正しくトレーニングすれば対象を検出できる。その画像をデコード(復号)するアルゴリズムを作れば良いだけである。
 一連の実験を通じて、研究チームは大学の“U”ロゴの画像、傍線画のビデオを撮った、いずれもLEDライトボードに表示された。安価な市販のカメラセンサはプレキシガラス窓縁に接続したが、窓に向けられていた。ライトボードはセンサ前面から90°の角度でガラスの前に設置されていた。アルゴリズムを走らせるコンピュータプロセッサの助けを借りて、カメラセンサから得られた画像は低解像度の画像だが、確実に認識できる。その方法は、フルモーションビデオやカラー画像も表示できる。
 そのプロセスは、窓縁の周りを反射テープでラップする必要がある。画像の対象物から来るほとんどの光は、ガラスを透過するが、約1%が散乱し窓を通過しカメラセンサに入る。画像をデコードするコンピュータアルゴリズムのためには、これで十分である。
 結果として得られた写真は、Pulitzer Prizeを取るほどではなが、自律走行車の障害回避センサなどのアプリケーションには十分である。とは言え、Menonは、もっと強力なカメラセンサなら一段と高解像度の画像を生成できると言う。
 レンズレスカメラのアプリケーションはほぼ無限である。窓をレンズとして使うことで、セキュリティカメラを建築中の家に組み込める。大きさを低減するために拡張現実(AR)ゴーグルに使うことも可能だ。現在のARグラスでは、位置追跡のためにカメラはユーザの眼に向けられなければならないが、この技術を使えば、レンズのサイドに設置してサイズを縮小できる。自動車の窓ガラスはエッジに沿ったマルチカメラになり、より多くの情報を取得できる。また、その技術は網膜や、一般に眼に向けられたカメラを持つ他の生体医用スキャナでも利用できる。
「それは万能ソリューションではないが、イメージングシステムについて考える興味深い方法を開く」とMenonは言う。
 研究チームは、ここからさらにそのシステムを発展させる。これには、3D画像、普通の家庭の光でより高い色解像度、撮影対象が含まれる。