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レーザ周波数コム、未来のWi-Fiの可能性

August, 20, 2018, Cambridge--新しい5Gネットワークは一時しのぎであり長期的ソリューションではない。そのため、研究者たちはテラヘルツ周波数に注目している。テラヘルツ周波数でのデータ伝送は、今日のワイヤレスの数百倍である。
 2017年、Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences (SEAS)は、量子カスケードレーザ(QCL)の赤外周波数コムが、テラヘルツ周波数生成の新方法となることを発見した。研究者たちは、QCL周波数コムの新しい現象を明らかにした。これらのデバイスは、より効率的に情報をエンコードできる集積送信器、受信器として機能する。研究成果はOpticaに発表された。
 論文のシニアオーサ、Federico Capassoによると、この研究成果は、レーザの動作法の完全なパラダイムシフトである。「この新しい現象は、マイクロ波周波数の先進的変調器にレーザを変革する。これは、通信システムにおける帯域の効率的な利用で大きな意味がある」とコメントしている。
 この研究は、レーザの光出力には関心がなかった。
 「われわれはレーザ内部で進行していること、つまり電子スケルトンに関心を抱いていた。光波長でレーザがマイクロ波デバイスのように動作することを初めて示したのである」と論文の筆頭著者、Marco PIccardoは言う。「われわれは初めて、光波長のレーザがマイクロ波デバイスとして動作することを示した」。
 レーザ内部では、異なる光周波数が打ち合わせマイクロ波放射を生成する。研究チームは、レーザキャビティ内の光により電子が、通信スペクトル範囲の、マイクロ波周波数で振動することを発見した。この振動は、外部変調してキャリア信号に情報をエンコードすることができる。
 「この機能は、これまでにレーザで実証されたことはなかった。われわれは、そのレーザがいわゆる直交変調器として動作し、2つの異なる情報を単一周波数チャネルで同時伝送し、通信リンクの他端で読み出せることを示した」とPiccardoは説明している。
 「現在、テラヘルツ光源は、帯域制約により重大な制限に直面している。この発見は、周波数コムのまったく新しい面を開き、将来的にはワイヤレス通信のテラヘルツ光源になる」と同氏は話している。