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多用途超音波システムで医療イメージング法を変革

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August, 10, 2018, Washington--超音波は最も一般的な医療イメージングツールの1つであるが、従来の電子超音波デバイスは、大きくなる傾向があり、他のイメージング技術と同時に使うことができない。新しい超音波システムは、エレクトロニクスコンポーネントの代わりに光を使い、性能が向上するとともに、医療問題の診断や処置で超音波の使用法が著しく柔軟になる。
 Biomedical Optics Expressに発表された論文で、研究者は、生体組織のビデオレート、リアルタイム2Dイメージングで、初めてオールオプティカル超音波イメージャを実証している。この研究成果は、オールオプティカル超音波を日常的な臨床における利用に向けた重要な一歩である。
 オールオプティカル超音波システムは、イメージングプローブに電子コンポーネントを必要としないので、MRIスキャナと同時に、安全に使用できる。これによって医師は、関心のある領域の組織、例えば腫瘍、血管のより包括的な画像を取得できる。
 「オールオプティカル超音波イメージングプローブは、画像誘導治療介入を変革する可能性がある」とUK、ユニバーシティカレッジロンドン(University College London)のErwin J. Allesは言う。「エレクトロニクスがないこと、結果としてのMRI適合性により真のマルチモーダルイメージガイダンスが可能になる。プローブは、従来の電子製品のほんのわずかなコストになる見込みだ」。
 デバイスに組み込まれた光ビームスキャニングミラーにより画像品質が向上し、多様なモードで画像を取得できるようになる。臨床設定では、作業に適合するように1台の装置のモードを手元で迅速に切り替えることができる。従来の超音波システムで多様なタイプの画像を取得するには、別々の特殊プローブが必要になる。
「スキャニングミラーから得られる柔軟性により2Dと3Dイメージング間のシームレスな切り替えが可能になり、画像分解能と浸透深度間のトレードオフも動的に調整できる。特に、侵襲性の少ない介入設定では、イメージングプローブの交換は大きな混乱を招くので、処理時間が長くなり、患者へのリスクが生ずる」とAllesは説明している。

エレクトロニクスの除去
 従来の超音波イメージャは、電子トランスデューサアレイを使用して、高周波音波を組織に送り、反射を受信する。次にコンピュータが組織画像を構築する。
 対照的に、オールオプティカル超音波イメージャは、光を使って超音波の送受を行う。パルスレーザ光を使って超音波を生成し、スキャニングミラーが組織のどこに音波が送られるかをコントロールする。光ファイバセンサが反射波を受信する。
 従来の超音波デバイスの電子コンポーネントでは、体内利用のための小型化が困難であり、したがってほとんどの現行超音波デバイスは大きく、ハンドヘルドプローブは、皮膚に対して設置される。高解像度で侵襲性の少ない超音波プローブもいくつか開発されているが、それらは通常の臨床用途には高価すぎる。光コンポーネントは簡単に小型化でき、微小な超音波プローブは、コンパクトな超音波システムと比べて、大幅に低価格になる見込である、と研究者は話している。

画像処理の高速化
 画像を生成するためには、オールオプティカルシステムは多数の光源位置からデータを取得し、それらを合成し、イメージングされている領域を再構成する視覚化を行わなければならない。
 研究チームは以前、オールオプティカル超音波を使って高品質2Dおよび3D画像を生成したが、画像の取得に数時間かかり、臨床設定で使うにはこれらの機器はあまりにも遅すぎた。新しいデモでは、まずビデオレートでオールオプティカル超音波による画像の取得とディスプレイを行う。
 「新しいイメージングパラダイム、新しい光超音波生成材料、最適化された超音波源形状と高感度光ファイバ超音波ディテクタの組合せにより、画像フレームレートを現在の最先端のものの3ケタ向上を達成した」(Alles)。

医療マルチツール
 光超音波システムは、はるかに高帯域で音を生成できるので、電子製品に比べて本質的に多様性が優れている。研究チームは、光源をどのように操作すると低周波超音波、高周波超音波を生成するかを実証した。低周波は、組織への浸透度が高く、高周波超音波は、より浅い位置での解像度が高い。
 研究チームは、死んだゼブラフィッシュと豚の動脈を撮像してプロトタイプシステムをテストした。豚の動脈は、脈動する血液のダイナミクスをエミュレートするように操作した。デモンストレーションは、電子高周波超音波システムに匹敵するイメージング能力を示し、持続フレームレートは15Hz、ダイナミックレンジ30dB、6㎜の侵入度、解像度は75×100µmであった。
 この技術を臨床適用するため研究チームは、フリーハンドオペレーション用に長い柔軟なイメージングプローブを開発している。また、内視鏡アプリケーション向けに小型化バージョンも開発している。