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ナノ-オプティック内視鏡、高解像度で組織深部をイメージング

August, 9, 2018, Calabasas--内臓器官の病気診断は、病変部位から集めた生検サンプルに依存することが多い。しかし、そのようなサンプルは間違いを起こしやすい。現在の内視鏡イメージング技術は、病変部位を正確に可視化できないからである。到達が難しい身体の領域、消化管や肺気道などにアクセスするために使用されるカテーテルの従来型光学素子は、光イメージングの全能力を阻む収差が生ずる傾向がある。
 マサチューセッツ総合病院(MGH)内視鏡専門家とSEAS(ハーバード・工学/応用科学スクール)のフラットメタレンズ技術開発者が協働で新しい種類の内視鏡イメージングカテーテルを開発した。これは、ナノオプティク内視鏡と言われ、現在のシステムの限界を克服する。研究成果は、Nature Photonicsに発表された。
 「多くの先進的内視鏡顕微鏡法の臨床採用は、大きなデスクトップ顕微鏡と同等の画像品質を達成する微小カテーテル設計の難しさによって阻まれてきた」とMGH および Harvard Medical School (HMS)准教授、Melissa Suterは言う。「メタレンズを設計に組み込んだナノオプティクカテーテルは、光カテーテル設計の展望を変える見込がある。結果、内視鏡顕微鏡の品質、分解能、機能の飛躍的向上になる。これは究極的には、生きた患者の細胞と組織の微細構造をより高精細に評価できることで臨床利用を促進する」とコメントしている。
 「フラットオプティクスに基づいたメタレンズは、変革的新技術である。多数の複雑な形状のレンズを必要とする従来のオプティクスに比べて、高解像度イメージングに必要な画像歪の制御が容易だからである」とSEASのFederico Capassoは言う。「これが新しい種類の光学系、多くの科学技術分野で幅広いアプリケーションを持つ機器になると信じている」。
 「ナノオプティク内視鏡の多様性と設計柔軟性は、内視鏡イメージング能力を大きく高め、内臓器官の診断イメージングに影響を与える可能性がある。われわれは、焦点深度を大きく拡大しながら高解像度イメージングを達成するそのような能力の一例を実証した」と論文の共同筆頭著者、Hamid Pahlevninezhadは話している。
 ナノオプティック内視鏡のイメージング品質を実証するために、研究チームは、果肉、豚と羊の気道、人の肺組織を撮像した。チームは、ナノオプティク内視鏡が、現在のイメージングカテーテル設計でできるよりも、著しく高い解像度で組織深部まで撮像できることを示した。
 SEASのYao-Wei Huangは、「メタレンズの主な利点は、球面収差や非点収差を克服するために仕様を設計、調整し、光の高精度焦点を達成できることだ。その結果、複雑な光学コンポーネントなしで焦点深度を拡大した非常に高い解像度を達成する」と説明している。
 研究チームは、ナノオプティクス内視鏡の多のアプリケーション探求も狙っている。高偏光感度のナノオプティック内視鏡がこれに含まれる。例えば、平滑筋、コラーゲン、血管など、高度に組織化された構造を持つ組織間のコントラストを高めることができる。
(詳細は、https://www.seas.harvard.edu)