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光増幅に音波を使う新タイプのシリコンレーザを開発

June, 12, 2018, NY--イェール大学(Yale University)の研究チームは、光増幅に音波を使う新しいタイプのシリコンレーザを開発した。研究成果は、Scienceに掲載。
 「シリコンの本質的特性のために、電流を使ったレーザ発振が非常に難しい。この問題を回避するために、われわれはチップ上の光を増幅する別の方法見つける必要がある。われわれの場合、光と音波の組合せを使う」と、応用物理学准教授、研究リーダーPeter Rakichのラボ、院生、Nils Otterstromはコメントしている。
 レーザ設計はレーストラック形状内に増幅された光を囲い込む。つまり光をトラップし円運動させる。「レーストラックデザインは、イノベーションの重要部分であった、この方法でわれわれは光増幅を最大化し、発振が起こるのに必要なフィードバックを得る」とOtterstromは説明している。
 音で光を増幅するためにシリコンレーザはRkichラボで開発された特殊構造を使う。「それは本質的にナノスケール導波路であり、光と音波を閉じ込め、そられの相互作用を最大化するように設計されている」とRakichは言う。
 「この導波路でユニークな点は、光が伝搬する2つの明確なチャネルが存在することである。これにより、非常にロバストで柔軟性のあるレーザ設計を可能とする方法で光と音の結合を作ることができる」と論文の共著者、Eric Kittlausは話している。
 このタイプの構造がなければ、音を使ってシリコンで光を増幅することはできない。Rakichは「これらの光回路に実質的に欠如していた光と音の相互作用をわれわれは採用し、それをシリコンにおける最強の増幅メカニズムに変えた。これによりわれわれは、新しいタイプのレーザ技術にそれを使うことができる。これは10年前、誰も考えつかなかった技術である」と話している。
 Otterstromによると、新しいレーザ開発で主要課題は2つ。「まず、増幅が損失を上回るデバイスの設計と開発。次に、このシステムの反直観的動力学の考案」。「われわれが観ているものは、システムは明らかに光レーザであるが、それは非常にコヒレントなマイクロ波超音波も生成している」。
 研究チームは、これらの特性が多くの潜在的なアプリケーションにつながるとみている。集積共振器から情報のエンコードとデコードのための新しい方式までである。「シリコンを使うことで、われわれは、それぞれが独自の動力学と潜在的アプリケーションを持つ多数のレーザ設計を作ることができる。これらの新しい機能が、シリコンフォトニクスで光を制御、成形するわれわれの能力を飛躍的に高める」と共著者、ノーザンアリゾナ大学、准教授、Ryan Behuninはコメントしている。