All about Photonics

Science/Research 詳細

インクジェットプリンティングで精密光コンポーネントを作製

Figure_1_from_paper_OpEx_319350

May, 10, 2018, Washington--導波路などの光コンポーネントのプリントに使用できるインクジェットプリンティング技術が開発された。このプリンティングアプローチは、エレクトロニクスやマイクロ流体も製造できるので、様々なデバイスの提案が可能になる。例えば、ヘルスモニタリングに使用する光学センサ、複数のラボ機能を小さな回路、つまりチップに集積し自動化するラブオンナチップ(lab-on-a-chip)などである。
 「インクジェットプリンティングは、光コンポーネント製造にとって非常に魅力的な方法である。機能の位置やサイズが簡単に変えられ、実質的に材料の無駄がないからである」とスイスのCSEM、Rolando Ferriniをリーダーとする研究チームのメンバー、FabianLütolfは話している。「とは言え、インクの表面張力のために、導波路作製に必要な特定の高さのラインをプリントすることが難しくなっている」と話している。
 インクジェットプリンティングは積層造形(AM)技術である。構造を作製するために基板に、コンピュータ生成のインクパタンを堆積する。研究チームは、従来のシングルステップではなく、二段階でインクを堆積することによって、特定の高さのラインのプリントが可能になり、他の方法で造るよりも遙かに滑らかな特性が得られることを見いだした。プリントされた構造は、2.5次元(2.5D)と考えられている。フラットではないが、従来の3Dプリンディングで造られる構造と比べると、その複雑性が限られているからである。
 Optics Expressに発表された研究成果では、同技術でアクリルポリマ製の2.5D光導波路やテーパーのプリントに使えることが示されている。そのプリンティングコンセプトは、メタリックインクなど他の材料でも使え、エレクトロニクス、生分解性アプリケーション向けにサッカロースミックスを作れる。
 Lütolfの説明によると、エレクトロニクスのプリンティングはすでに商用利用されているが、マイクロ流体のプリンティングは一段と難しく、導波路と同様の問題が起こりがちである。「われわれのアプローチにより単一のプリンターで多機能コンポーネントが製造できるようになっているので、チップ上に集積回路全体の積層造形ができるようになる。つまり、光コンポーネントを柔軟なハイブリッドエレクトロニクスに付加し、光源やディテクタなどの光電子コンポーネントをプリント光回路に集積できる」と同氏は話している。
 表面張力のために、基板に堆積したインクは膨らんだり割れたりする傾向がある。二段階でインクを堆積することにより、研究チームは液体の表面張力を利点に変えた。一続きの液滴を堆積した後、プリントされたインクは第二段階で、液滴間の自己整合で表面エネルギーを最初のプリントから最小化しようとする。これまでのインクジェットプリンティングアプローチと違い、研究チームは基板をプリパターニングする必要はなかった。つまり、利用可能なデザインスペースが増え、製造が簡単になる。
 新しい技術を実行するために、ピニングキャップという一連の液滴をまずプリントする。これらの球状キャップピン液体ブリッジが、二度目のプリントのインクで形成され、インクを動かなくし、プリントラインの膨らみ形成を防ぐ構成となる。2点間の直線の形成に加えて、その技術を使って3つ以上の接合点を接続し、コーナーや鋭角を形成することができる。
 新技術は、チップ上に微小コンポーネントを作製するために一般に使用されている、従来のフォトリソグラフィに対して、いくつかの利点を提供する。「インクジェットプリンティングは、フォトリソグラフィのように物理的なマスクを必要せず、コンポーネントの接続が容易になる」とLütolfは言う。「また、アイデアを素早くテストしたり、パラメータを変えたいだけなら、インクジェットプリンティングのような積層造形法では、デジタルデザインの適用が必要になるだけである」。
 新しいプリンティング法を評価するために研究チームは、ポリマ導波路を作製した。導波路は、幅120µm、高さ31µm、外部レーザ光源からの光入力のためにテーパーになっている。チームは、導波路内の光損失を計測。損失は、0.19dB/㎝だった。これは、フォトリソグラフィを使って作製した最先端の導波路と比べてわずか一桁高いだけである。
 「アプリケーションとして想定しているのは、導波路は短距離の光伝送であり、ネットワーク全体ではない。現状の損失レベルは、そのようなアプリケーションに耐えられる」(Lütolf)。
 研究チームによると、可能な最小導波路は、一滴のインクで構成される。そのサイズは、インクジェットプリンターのノズルに制約される。研究で使用されたプリンターでは、最小導波路は40µm幅、高さは10µm程度となる。一般的な産業用インクジェットプリンターも同様の限界である。
「現在の材料とハードウエアの組合せでは、一般にシングルモード動作に必要とされる10µm以下の導波路作製はできない。しかし、われわれは近いところにきている。シングルモード導波路作製を阻む基本的な物理限界は存在しない」。
 研究チームは、現在、導波路による光損失量をさらに下げるために、プリンティング法とインクの最適化に取り組んでいる。また、インクジェットプロセスを大規模製造、最終的には商用実装に適用できるようにすることにも取り組んでいる。