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EMBL Rome、神経因性疼痛を光で操作

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May, 10, 2018, Heidelberg--EMBL Romeの研究チームは、光を使ってマウスの神経性疼痛を操作する新しい方法を開発した。
 神経因性疼痛の患者は、欧州人口の7~8%と言われている。
 EMBL Romeの研究チームは、軽い接触への感度に関与する皮膚の特定神経細胞を確認した。これらは、神経因性疼痛の患者に激しい痛みを起こす細胞でもある。研究チームは、選択的にこの種の神経細胞に結合する感光性化学物質を開発した。まず、皮膚の患部にその化学物質を注入し、次にそこに近赤外光を照射することにより、標的とされた神経細胞が皮膚表面から後退し、疼痛が緩和する。研究成果は、Nature Communicationsに掲載されている。
光で神経末端を削り取ることによって、神経因性疼痛患者では激痛を起こす軽い接触はもはや感じられなくなる。「われわれの技術の良い点は、神経因性疼痛を起こすニューロンの小さなサブグループを明確に狙えることである」と研究グループリーダー、Paul Heppenstallは説明している。
 皮膚には多くの異なる種類の神経細胞があり、振動、寒暖、普通の痛みなど、特有の感覚をもつ。これらの細胞の全てが光処置の影響を受けるわけではない。皮膚は、非常に軽い接触、そよ風、くすぐり、あるいは皮膚を這う昆虫に対してのみ鈍感になる。
神経因性疼痛処置のための薬剤を開発する以前の取り組みでは、単一の分子を標的にすることにほとんど集中していた。「われわは、関与しているのは1個の分子ではなく、たくさんあると考えた。1個、あるいは数個をブロックすることには成功するかもしれないが、結局、他のものがその機能を受け継ぐことになる。われわれの新しい照射法では、この問題を完全に回避する」とHeppenstallは説明している。
手足に神経因性疼痛の影響を受けているマウスの反射神経を計測することによって接触や痛みを評価することができた。患っているマウスは、そっと触れると素早く手足を引っ込める。しかし、光処置後、マウスは、優しく触れると、正常な反射を示した。治療効果は数週間続くが、その後は神経末端は元に戻り、軽く触れても激痛を起こす。
 研究チームは、人の皮膚組織も調べた。組織の構成全般と関心のあるニューロンの細目は同じように見え、その方法が人の神経因性疼痛の操作にも効果的であることが考えられる。「最終的に、われわれの目的は、人と動物の両方で、痛みの問題を解決することである。もちろん、神経因性疼痛の人々で同様の研究を行う前にやるべき仕事は多い」とHeppenstallは話している。
(詳細は、news.embl.de)