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ホログラフィアプローチで飛行機や自動車のHUD改善

April, 5, 2018, Washington--ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、飛行機や自動車で使われる透明なデバイスで、重要なフライトデータ、走行方向などの情報をフロントガラスに表示する。画期的なホログラフィベースのアプローチが、間もなくこのHUDを大きなアイボックスで見やすくする。
 現在のHUDはアイボックスが小さい。ユーザーが眼差しを頻繁に変えると、表示された情報が部分的に、あるいは全面的に見えなくなる。「われわれの新技術使うHUDを自動車に導入すると、ドライバーがたとえ動き回ったり、身長が平均よりも低くても高くても、表示情報を見ることができる」とアリゾナ大学の研究チームリーダー、Pierre-Alexandre Blacheはコメントしている。
 研究チームは、Applied Opticsで実用的なプロトタイプHUDを示した。これは、ホログラフィック光学素子を使用しており、アイボックスはホログラフィック素子なしで利用できるものよりも大幅に大きい。研究チームによると、このアプローチは数年以内に商用製品にでき、また表示エリアを広げるためにも利用可能である。
 「従来のHUDでアイボックスあるいは表示画像のサイズを大きくするには、投影光学系、リレイレンズ、すべての関連オプティクスのサイズを大きくする必要がある。これでは、ダッシュボードで占めるスペースが大きくなりすぎる。従来のオプティクスの代わりに、われわれはホログラフィを使って、最終的にフロントガラスに直接適用できる薄型光学素子を造った」と博士課程学生、論文の筆頭著者、Colton Biglerは説明している。
 クレジットカードの偽造防止用ホログラム作製に使用される同じレーザ光相互作用が、感光性物質にレンズやフィルタなどの光学素子作製に使用できる。このホログラフィック素子は、従来の光コンポーネントよりも小さいだけでなく、簡単に量産できる。
 新しいHUDでは、ホログラフィック光学素子が小さな画像からの光の方向をガラスシートの方に変え、そこに閉じ込めて最終的にその光を取り出す別のホログラフィック光学素子に到達させる。抽出されるホログラムは、元の画像よりも大きなアイボックスに画像を表示する。
 研究チームは、光学シミュレーション後、元の画像よりも7倍大きなアイボックスとなるHUDのラボバージョンを作製し、さらに実用的なプロトタイプを作製した。プロトタイプを使って研究チームは、元の画像のアイボックスをほぼ2倍にし、ユーザーがホログラムの端の外側を見るまで画像が消えないことを示した。また、表示画像が遠視野に現れることも実証した。これは、表示情報を見るためにユーザーが焦点を変える必要がないことを意味する。
 研究チームは、単色でアプローチを実証したが、フルカラーHUDに拡張できるとしている。また、サイズを大きくすることも可能である。

(論文)
Paper: C. M. Bigler, P.-A. Blanche, K. Sarma, “Holographic Waveguide Heads-Up Display for Longitudinal Image Magnification and Pupil Expansion,” Applied Optics, Volume 57, Issue 9, 2007-2013, (2018).
DOI: 10.1364/AO.57.002007